新型トヨタ『マークX』は先代同様、駆動方式はFRである。しかし、そのプロポーションを形作るうえでは新しい試みがなされている。
「FRプロポーションとは、一般的には、フロントのタイヤからAピラーまでの距離が非常にあり、キャビンが全体の比率からすると後ろに下がっていました」とはデザイン本部トヨタデザイン部グループ長、宇角直哉さん。
しかし新型マークXはAピラーの付け根を先代より80mmくらい前に出している。「FRでありながらFFのデザインを取り入れてキャビンを大きく見せています。旧来的なFRプロポーションではないのです」という。
あえてバランスを崩すことによって、新しいプロポーションを持ったFRができないかトライしたのだ。「初代マークXは、ロアボディにキャビンがそのまま乗っているという構成で、FRプロポーションというのは表現としてわかりやすかった。しかし新型は、ロアボディとキャビンをより一体的に見せ、全体の塊を『glam tech』で表現できないかトライしました」。
またもうひとつ、FRであることの特徴として、「リアドアあたりから後ろを、テンションをかけるように押さえています。後ろへ勢いをただ抜くのではなく、テンションを掛けながら抑え込むことで、リアタイヤが力を蓄えるFRとして意味合いを持たせているのです」と駆動方式とデザインの関係性を語った。