フォードのモータースポーツ活動を統括するフォードレーシングは28日、2010年シーズンのNASCARに『マスタング』で参戦すると発表した。
マスタングはフォードを代表するスポーツカー。歴代モデルはドラッグレース、ロードレース、ドリフトなど、数々のモータースポーツで栄冠を勝ち取ってきたが、意外にもNASCARへの参戦は初となる。
NASCARは61年の歴史を持つ米国で最も人気が高いモータースポーツだ。市販車をベースに改造を施したマシンで争われ、オーバルコースを超高速で周回する。GMはシボレー『インパラSS』、フォードは『フュージョン』、クライスラーはダッジ『チャージャー』、トヨタは『カムリ』で参戦中だ。
7月25日の第20戦を終えた時点でのマニュファクチャラーポイントは、トヨタ140点、シボレー(GM)120点、フォード117点、ダッジ(クライスラー)63点。2007年にNASCARデビューを果たしたトヨタが首位に立っている。
NASCARの乗用車ベースカテゴリーには、最高峰の「スプリントカップシリーズ」、その下に位置する「ネイションワイドシリーズ」がある。マスタングが参戦するのはネイションワイドシリーズだ。現在、フォードレーシングはNASCAR主催団体に車両の公認を申請中。認可が下り次第、今秋からテスト走行を開始し、2010年シーズンからの出走に備える。
フォードレーシングは、NASCAR仕様のマスタングのCGイラストを公開。NASCARマシンは市販車ベースとはいえ、実際には市販車とまったく異なる。マスタングもパイプフレーム製シャシーにボディパネルを貼り付けたもので、他のNASCARマシンと同様にドアがないため窓から乗降する。しかし、フロントマスクは確かにマスタングのイメージが反映されている。
フォードの北米モータースポーツ部門責任者、ブライアン・ウルフ氏は「マスタングでNASCARへ参戦するのが今から楽しみ。将来的には最高峰のスプリントカップへのステップアップを狙っている」と意気込みを語る。
現在、スプリントカップに出走しているフュージョンは、ハイブリッドの印象が強く、どちらかといえばスポーツイメージが希薄。その点、マスタングなら文句なしだ。NASCARへのマスタング参戦は、最も効率的なブランドイメージ向上手段かもしれない。