【ロータス『LOSSO-9』インタビュー】「非ディーラー陣営の情報武装で生き残る」来島自動車社長

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【ロータス『LOSSO-9』インタビュー】「非ディーラー陣営の情報武装で生き残る」来島自動車社長
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「ロータスクラブ」は最大規模の自動車整備業者全国組織として1600社のサービスネットワークを持つ。車検や整備、板金だけでなく、スズキ、ミツビシの新車販売、ブリヂストン、ヨコハマのタイヤ販売など販売ネットワークとしても機能している。

ロータスクラブは各県に分かれた支部のほかに、地域ごとにエリア分けされて運営されているが、8支部からなる九州エリアの結束は固く「ロータス九州」として法人化することでキャンペーンや提携などを積極的に展開している。

なかでも「LOSSO-9」故障診断機の開発は注目に値する。「LOSSO-9」はKDDI製の通信モジュールを内蔵することで、ロータスクラブの整備工場ネットワークで車種別故障履歴と修理ノウハウのデータベースを構築しようとしている。その仕掛け人でありロータス九州執行役員でもある来島自動車来島修自社長に話を聞くことができた。



——LOSSO-9を始めた背景について教えてください。

来島氏:我われ整備工場の経営者たちは、存在意義が問われている状態と危機感を持っています。

最初のきっかけは2004年のトヨタカードのサービス開始です。これは、自動車メーカーが単なるカード事業へ参入してきただけでなく、メーカーがユーザーの個別情報を収集することで、囲い込みを考えていると思いました。非メーカー系である整備工場も顧客データベースの一元管理などの必要性を強く感じました。

メーカーと一体になったディーラーの脅威は年々増すばかりです。自動車のブラックボックス化が進み、ユーザーも点検や修理をディーラーに依存する傾向も高まっています。

一方、この新車が売れない時代にもかかわらず、整備工場は兼業を含めると9万もあり、微増ですが増えているという現実があります。いわゆるボディショップ、カー用品店などが指定や認定を取得するようになっているからです。

我われ専業の整備工場も武器を持たないと生き残れません。


——LOSSO-9は故障診断機ですが、それがCRMのような顧客情報管理に結びつくのですか。

来島氏:もちろん、ロータス加盟店が個別に持つ顧客情報をなんらかの形で集約できればよいのでしょうが、各店舗の経営ノウハウの結晶ですし、個人情報でもあるので難しい問題です。いきなり顧客管理を目指すのではなく、ユーザーと加盟店の視点でなにかデータを集められないかと考えました。

当時、私は、ロータス九州で新規事業の開発に取り組んでいたのですが、2006年、国交省がOBDの義務化やICT活用を唱えはじめたころから、故障診断とそのデータベース構築というアイデアにつながりました。現在もOBDコネクターに接続する故障診断機はいくつかのメーカーが提供していますが、診断できる車種が限られているなどの理由から整備工場の現場では有効に活用されていない現実があります。

なにより、これらの診断機はスタンドアローンであり、診断データの蓄積や共有については考えられていません。ディーラーなどに設置されたメーカー系の診断機の一部はオンラインでメーカー本社に接続されているものもありますが、独立系の修理工場ではそのような機器の導入はしていません。

あらゆる車種、型式の診断情報が集約できれば、自社の車種だけに限定されるメーカー系のデータベースに対抗できるのではないかと考えました。

——バラバラの情報を集約することで付加価値の高いサービスが可能になるわけですね。

来島氏:故障診断機を通信ネットワーク対応にさせ、あらゆる車種ごとの診断データをサーバーに集約し、新しいビジネスにつなげたいと思っています。

加盟店どうしの議論の結果、「LOSSO-9」の機能は故障診断アラートのチェックと修理後の消去に特化しています。違いといえば、車種データベース、診断解析機能、結果表示機能などを端末側に持たず、OBDコネクターを介して伝えられたECU、AT、ABS、エアバックなどのコンピュータの測定信号を個別ではなく一気に読取りサーバーに送信します。その測定結果をサーバが照会、診断して、結果を携帯電話に送り返すようにしていることです。「LOSSO- 9」には液晶表示はなく、携帯電話かPCで結果を見るのです。

このとき、LOSSO-9を接続して正常に診断データを読み取れた車種、型式などの実車の情報がデータベースとして蓄積され、エラー車種はすぐに特定され対応が進みます。LOSSO-9の加盟整備工場からのデータは日々追加されていくので、対応車種が限定されたり、システムのバージョンアップが必要な診断機よりも現場での利用効率が各段に上がります。

——なるほど。このコンセプトはICT業界で話題になっているクラウドやSaaSなどと呼ばれ、データベース、ストレージ、CPU、アプリケーションソフトなどは通信の向こう側(クラウド)に置く発想ですね。IT業界のことを専門に勉強された経歴があるのですか。

来島氏:いいえ、ITやネットワークは専門ではありませんが、良くも悪くも車屋でなない発想といわれることはあります(笑)。

——現在までにどれくらいのデータが集まっているのですか。

来島氏:まだ、収集段階でもあるので十分な数とはいえませんが、1055型式中526型式、つまり49.9%はデータが収集できました。この526型式のなかで例えばエンジンに関しては462型式が読取りに成功しています。87.8%の成功率と言えます。この数字は先行するどのメーカーの故障診断機よりも高いと自負しています。

——ネットワークすることで、もっと大きな可能性を感じます。

来島氏:現在はまだ加盟店への具体的なフィードバックは十分とはいえないかもしれません。現実には対応車種が多彩で値段の安い診断機という位置づけでしょう。

今後の可能性としては、LOSSO-9ののデータベースによって、どの車種がどのくらいの走行距離でどこが壊れやすいかという傾向を探ったり、あるいは地域、季節、時間といった要件での故障傾向の分析が可能になります。個別の車種ごとの状態が管理しやすくなり、故障予報のようなこともできるかもしれません。

また、診断機の結果は、特定のセンサーやモジュールの異常を報告してくれますが、不具合の箇所を特定するわけではありません。例えば O2センサーが異常を発したといってもそのセンサーを交換すればよいというわけではないのです。その異常の原因と思われる個所を類推したり、整備マニュアルの情報サービス(損保会社が行うことが多い)を受けて、故障個所を特定することになります。通常であれば、この部分は経験や職人の勘のようなものに頼る作業ですが、このような、ナレッジの集約はすでに始めている部分です。

実際、「ディーラーで部品交換10万円といわれたけどまだ再発する」という顧客の診断を行ったある加盟店では、LOSSO-9からの故障情報と対策情報を入手しており、30分程度の工数で修理して非常に喜ばれた事例も報告されています。

——たしかに、いくら修理しても症状がとまらない原因不明の故障などは、よく聞く話しですね。

来島氏:さらに不具合や故障箇所情報を集約できれば、メーカーからのリコール情報とは違った視点の情報発信も可能ではないかと思っています。

法的に整備されて機能しているとはいえ、リコール情報はメーカーからしかでてきません。今後は非メーカー系やユーザーの活動が重要になってくると思います。 ROSSO-9によって、トラブル情報の集約が進めば、メーカー主導ではないユーザーや整備工場からの不具合報告に客観性や裏付けを与えることができるかもしれません。

——加盟店がLOSSO-9を利用する金額はどの程度でしょう。

来島氏:現在の募集は初期入会が6万程度、月額は通信費込みで1万数千円です。実はLOSSO-9はロータス加盟店向けの名称で、他の整備工場向けには開発会社のエムログさんを通じて別ブランドでの販売も予定しています。

——ロータスクラブのノウハウやデータベースが流出する危惧はありませんか。

来島氏:今日明日のことを考えると同業者はライバルですが、中長期で考えて取り組まないと業界全体が立ち行かなくなり共倒れになってしまいます。非ディーラーであればすべての整備業者でLOSSO-9を共有したいと考えています。

——本日は、ありがとうございました。
《中尾真二》

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