【池原照雄の単眼複眼】オーリス HV投入で消えるか、いすゞトヨタのディーゼル提携

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【池原照雄の単眼複眼】オーリス HV投入で消えるか、いすゞトヨタのディーゼル提携
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◆欧州でもハイブリッドに「軸足」

トヨタ自動車が『オーリス』のハイブリッド車(HV)を10年半ばから英国工場で生産することを決めた。欧州でも「徐々にHVに軸足を移す」(豊田章男社長)という戦略の具体策となる。筆者はこれにより、ひとつの提携案件が解消されると見る。いすゞ自動車とのディーゼルエンジンの共同開発・生産だ。

オーリスへのHV設定と英国生産は、ハッチバック車の人気が高い欧州で、トヨタがHV事業に量的にも本格着手することを意味する。これで海外でのHV生産は、中国(05年開始)、米国(06年開始)、タイ(09年7月予定)、豪州(10年初め予定)に次いで5か国となり、地理的にも世界展開の態勢が整う。

豊田社長は就任後の記者会見で、欧州市場攻略について「これからは単に力ずくでシェアを伸ばせばいいというものではない。トヨタの特色を生かしたビジネスにより存在感あるメーカーを目指したい」と語った。そして、同社の「特色」とはHVだと指摘した。
オーリスは『プリウス』とプラットフォーム(車台)が共通であり、HVも設定しやすい。オーリスHVの仕様は明らかにされていないが、エンジンやモーターなど基幹ユニットは新型プリウスと共通化されることになろう。


◆2012年に生産開始予定だったが……

トヨタはこれまで、欧州でプリウスやレクサスブランドのHVを市場投入してきた。ディーゼル車が過半数を占める西欧だが、HVの燃費や走行性能がようやく評価されつつある。もともと、欧州向けを念頭に開発されたオーリスのHV設定で、まさに「存在感」を示したいところだ。

欧州では当面、ディーゼル車にも依存することになるが、膨大な投資が伴う新エンジンの開発は見送られることになろう。つまり、昨年末に凍結されたいすゞとの共同開発が復活する可能性はこれで消えると見ている。

両社は06年11月に共同開発や資本提携(トヨタが5.9%出資)で基本合意、翌07年8月に1.6リットル級のディーゼルを12年ごろに生産開始することとしていた。エンジンはトヨタの欧州向け車両に搭載することが前提だった。


◆いすゞに残った日野との提携強化という道

基本合意後、両社の提携内容の詰めには時間がかかり、交渉はしっくり行かなかったと聞く。07年8月に方向が決まった際の発表文にも、開発と生産は「いすゞが主体で行うことを原則に進めていく」という一文が盛り込まれ、いすゞ側が必死でイニシアチブを取ろうとした痕跡が残った。

ディーゼル技術へのプライドがビジネス機会を失わせたと見えてならない。もっとも、いすゞにはトヨタの資本参加という貴重な「糸」が残った。

もともと「トヨタさんの希望」(井田義則いすゞ会長=提携当時は社長)で受け入れた出資だったが、この糸を手繰り寄せながら激動後の成長路線を描くことはできる。それはトヨタグループの日野自動車と、将来の経営統合をにらんだ提携の強化・拡充ということになろう。
《池原照雄》

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