2 | 作りの当たり外れ |
いっぽうこれだけ食品にプリントする技術が普及すると、逆に貴重さを増すのが「手作り」である。
一昨年秋イタリアのサンジミニャーノに、本家以外では初のプジョー専門博物館が完成し、創業家からティエリー・プジョー氏を招いてオープニングパーティーが開かれた。
そのときは地元のお菓子屋さんが手作りしたライオンマークのケーキが用意された。登場した瞬間会場からは歓声が上がった。やはり、ハンドメイドには何か訴えかけるものがあるに違いない。
ただし手作りにも「外れ」がある。、特にマークではなくクルマの形を模した場合に多い。
製作者がクルマに思い入れのない場合が多いのだが、本物とは似ても似つかぬクルマに仕上がってしまう。
それを見たときの印象は、いくら著名作家の絵本でも、描かれたクルマがいい加減だと鑑賞意欲がなくなるのと同じである。そうしたクルマの多くは大抵前後フェンダーアーチがタイヤに被っていたり、フロントドアの前端がフェンダーにかかっていたりするのが特徴だ。
それでもイベントの末席に参加させていただいた以上、「ヒューヒュー!」とか黄色い声を上げて場に合わせないといけないのが、これまたつらい。