新生フィアットの「顔」が辞任で株価下落

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新生フィアットの「顔」が辞任で株価下落
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フィアットのルカ・デメオ・マーケティング担当重役が辞任することが、12日発表された。新生フィアットの「顔」の1人が去ることで、同グループの株価は一時4%以上値下がりした。

デメオは1967年ミラノ生まれ。ミラノ・ボッコーニ大学経済学部を卒業後、フランスでマーケティングを学んだ。1992年ルノー・イタリア入社。1998年トヨタ・モーター・ヨーロッパに移り、レクサスの欧州展開立ち上げに参画したのち、2002年にフィアット入りした。

フィアットではランチア・ブランドのマーケティングを担当後、2005年フィアット・ブランドのコマーシャル・マネジャーに昇格した。2007年には分社化に伴い、フィアット・オートモビルズのCEOとなった。まもなくアバルトの社長も兼任。同年9月からはグループ全体のマーケティング担当重役に昇格した。加えて12月からはフィアットのCEOを他に譲る代わりにアルファロメオのCEOを兼任することになった。

今回の辞任に関して、デメオは「プロとして人間として替えがたい経験をする機会を与えてくれたフィアットに感謝している。だが41歳の私は新しい職業人生を歩む必要を感じた。困難だが、きわめて刺激的な挑戦に立ち向かうことで成長できた(フィアットでの)素晴らしい7年間を忘れないだろう」と発表している。

デメオの後任として、アルファロメオのCEOには同ブランド・マーケティング部長のセルジオ・クラベーロが昇格し、アバルトのCEOはマセラティ社長のヘラルド・ウェスターが兼任する。

デメオは、フィアットグループ再建の立役者であるフィアットグループのセルジオ・マルキオンネCEOの秘蔵っ子といわれ、2007年のフィアット『500』をはじめ、新生フィアット車が発表されるたび、ブランドの「顔」となってきた。そのため“ポスト・マルキオンネ”の最有力候補と目されていた。

そうした状況だっただけにデメオ辞任のニュースは投資家にも動揺を与え、同日ミラノ証券取引所のフィアット株価は前日比で一時4%以上値下がりした。また、ドイツの自動車誌『アウトモーター・ウント・シュポルト』の電子版は、「デメオの移籍先はフォルクスワーゲンか?」との憶測記事を掲載した。

マルキオンネの直下でフィアット復活を支えた重役が去るのは、2007年12月のアルファロメオCEOだったアントニオ・バラバッレが出版社に転職したのに続いて2人め。スターを失ったフィアットの今後の推移が気になるところだ。

《大矢アキオ Akio Lorenzo OYA》

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