【曽我道子の即戦力】逆風の今、転職のための心構え

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最近、転職希望者に会うたびに受ける質問がある。

「景気が悪いので案件は減っていますよね?」

そうではない。それだけではない、と言った方がいいだろうか。

景気が悪いから案件がない=景気が回復すれば案件が出てくる、と思っていらっしゃる方が多いようだが、実際はそれだけが案件増減の理由ではない。現在の案件減少の理由は、転職市場の活気がすでに収束傾向にあり、また、大規模なリストラをやる一方で採用する事が対外的に不可能なことが理由と考えられる。

◆転職市場の収束

思えば、2006年から2008年春までは、中途採用が一気にメジャーになった時期であったといえる。

バブル崩壊後、やっと景気も持ち直し、企業に人を採る余裕が出来たこと、また、2006年以降大量採用できるようになった新卒を育てる中間層が不足していたことを理由に、企業はこぞって中途採用に取り組んだ。

就職氷河期に一気に採り控えていた層を補充し、社内の年齢構成バランスを平均化する事を目指した。そしていまや、充足はある程度できたという「採り切った感」を感じる。

現在27歳から36歳の方は経験されていたと思うが、就職氷河期は新卒採用を徹底的に絞っていた。その時代に希望の企業に入れなかった方、また、正社員での就職が難しく、雇用形態が希望に沿わなかった多くの方がいわゆる「リベンジ転職」を果たされた。

今現在はどうか。中途採用の大きな目的であった社内構成の是正が完了した中、完全に即戦力採用にシフトしつつある。景気に関係なく、すでに買い手市場にシフトし始めていた市場の中で、ダブルパンチで市場が減速した訳であるから、企業の採用熱が相当に低くなっているのは理解いただけるのではないか。

以前はその年代のマンパワーの補強のためという事で幅広く検討してくれていた企業も徐々にスペックが上がり、応募用件が細かく具体的になってきている為、応募者側も、数で攻める転職活動が難しくなってきている。

◆大規模なリストラ

いま自動車業界では、雇用契約打ち切りの嵐が吹き荒れている。もちろん今までも各メーカーで事業撤退や減収によるリストラは行われていた。しかし今回は今までとは違う。あまりに規模が大きく、同企業から大量に同じスキルを持ったエンジニアが出てきている。

同じ会社の出身者を同時に複数名も受け入れるというのを嫌うメーカーも多く、転職者も厳しい状況だといえる。また、一方でリストラをしながら、一方では採用をするというのは対外的に難しい部分もあり、自動車関連の案件のほとんどがクローズになってしまっている。つまり、職を失った労働者の受け皿がない状況だ。

とはいっても各メーカーともに、開発まで止めているわけではない。ラインでの製造エンジニアは減員傾向にあるが、先行開発を進める上で、優秀な人材を欲しいというニーズはある。

今はリストラの状況が落ち着いたら出てくるであろうピンポイントの求人の情報を逃さずにキャッチし、すぐに動けるよう業界研究を進める必要がある。

これからの動き方とは。

買い手市場の中で転職をする上で重要な事は2つ。チャンスを逃さないこと、そして辞めないことだ。

転職したい人は沢山いるのに、求人案件は少ないので、人気のポジションには一気に人が集まる。ご自身が興味を持つ企業には、他にも興味を持つ人が沢山いるということを理解し、スピード感を持ってトライすることが何より重要だ。

そして辞めないこと。離職期間が開く事は様々なデメリットがある。

転職活動していて決まらない人なら何か問題があるのではないか、活動をしていない人なら就業意欲はどうなのか、収入面、どれを取っても不安要素になる。ブランクはできる限り作らない方がいい。

社会人になってからの留学期間、通学期間、資格取得のための勉強の期間もブランクとみなされるケースがほとんどなので、そちらも充分に検討された方がいいだろう。MBAやその他の資格を取得されたい場合は、会社の制度を使って在職しながら行くのがベストであり、退職していくのはできる限り避けた方がいい。

自動車業界について不安になるニュースばかりを目にしても、それに揺れすぎることなく、冷静に、着実に先のキャリアを見据えて動いていただきたい。転職すれば今の状況をすべて打破できるということはまずない。

今だからこそクールダウンして、長期的に就業できる会社を見極めて欲しい。

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