米国のシェルビースーパーカーズ(SSC)社は16日、2009年モデルの『アルティメットエアロ』を発表した。エンジンや空力特性の改良により、最高速度434km/hを達成。2007年にマークした世界最速記録を更新した。
SSC社は米国ワシントン州に1999年に設立。あのキャロルシェルビー氏とは無関係の新興スポーツカーメーカーで、2007年にスーパーカーのアルティメットエアロを発売した。
同車のミッドシップには、GM製の6.3リットルV8にツインターボを追加したエンジンを搭載。1183ps、151.3kgmという途方もないスペックを叩き出す。スチールスペースフレームのシャシーにカーボンコンポジット製ボディを組み合わせ、車重はわずか1225kgに抑えられた。
2007年9月に行われたギネスブックの市販車最高速度記録チャレンジで、アルティメットエアロは412.28km/hをマーク。『ブガッティ・ヴェイロン』の407km/hを超える世界最速記録が誕生した。
2009年モデルでは1ピース構造のアルミ製エンジンブロック採用などの改良を実施。最大出力はプラス104psの1287ps、最大トルクはプラス2.5kgmの153.8kgmを獲得した。ボディサイドにはカーボン製エアインテークを新採用し、エンジン冷却性能を20%向上させている。
さらに、空力性能もアップ。米国のエアロモーティブ社と共同開発した新デザインのフロントバンパーを採用。リアには「エアロブレーキ」と呼ぶブレーキ連動型のスポイラーが装着された。
エアロブレーキはメルセデスベンツ『SLRマクラーレン』の「エアブレーキ」と同様の機構で、フルブレーキ時にリアスポイラーが20cm上昇し、挙動安定性を高めるメカニズムだ。
これらの改良により、0-96km/h加速2.78秒、最高速度434km/hを達成。2007年に樹立した市販車最速記録を更新した。ちなみに、日本のリニアモーターカーが517km/h、フランスのTGVが574.8km/hの世界記録を持つが、公道を走る市販車で434km/hの記録は文句なしに凄いといえるだろう。
アルティメットエアロの価格は公表されていないが、2007年の発売時が65万500ドル(約5800万円)だったことから、それを上回るのは確実。SSC社の販売店は米国ラスベガスと中東ドバイにしかないため、限られた顧客だけがその高性能を味わえることになる。