ソニーは、世界経済の悪化に対応、グループ全体の経営体質強化と収益性改善を図るための施策を実施すると発表した。
特に、事業環境急変の影響を最も受けているエレクトロニクス事業では、既に短期的な施策として生産調整、在庫圧縮、経費等諸費用の削減などを実施してきたが、これらに加え、円高に対応した商品価格の見直し、投資計画の削減・延期、不採算・非戦略事業の縮小・撤退、国内外製造事業所の再編、人員の再配置・削減などを行なう。
これら施策により、2009年度末までに、年間で総額1000億円以上の費用削減効果を実現できる体制の構築を目指す。
中期経営方針での投資計画を精査し、成長戦略を実現するための投資を継続する一方で、市場の変化に柔軟に対応して、投資の削減・実行の延期を実施する。具体的には、今年度内に半導体事業で携帯電話向けCMOSイメージセンサーの増産計画の一部を外部へ生産委託する。テレビ市場の急激な需要減速を受け、欧州市場への供給拠点のひとつであるスロバキア・ニトラ工場の液晶テレビ増産投資を延期する。これらの見直しで、2009年度のエレクトロニクス分野の投資は、中期計画より約3割削減する。
また、年度内に、テープなど記録メディアの生産拠点である仏・ダックス工場など海外2拠点を閉鎖する。製造オペレーションの合理化、低コスト国への生産移管・集約、OEM/ODMの活用などを進めることで、2009年度末までに製造事業所を現状の57拠点から約1割削減する。
さらに、製造事業所の再編、開発・設計体制の見直し、営業や間接部門の効率化などによって、本社を含む全社的な合理化を推進し、人材の再配置・最適化を図る。これらの施策で、2009年度末までに、エレクトロニクス事業の全世界の従業員数を、2008年9月末時点の約16万人から約8000人削減することを見込むとともに、派遣社員などの外部リソースの活用も見直す。