三菱重工業は、ノルウェー国営のガスノバ社から、火力発電所に設置する世界最大規模の二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)設備の初期設計(FEED)を受注したと発表した。
受注したのはノルウェー南西沿岸のカルストに立地する、出力42万kWの液化石油ガス焚きガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)発電向け。FEEDが承認されれば本工事の入札資格が与えられる。他の選定企業2社と、回収能力1日約3000トンの設備について、回収技術、性能、建設・運営コストを競い、本工事の受注を目指す。
CCS設備は、CO2回収能力数1日100トンクラスのものが米国などで稼働しているが、今回の設備はその10倍の規模だ。有力な地球温暖化抑制技術の一つとして期待されている。
ガスノバ社はノルウェー政府により、温暖化防止に向けCO2回収・輸送・貯留に関する技術開発を推進していく目的で設立された。CCS設備を設置するGTCC発電所は、首都オスロの西に位置する。
燃焼排ガス中のCO2を特殊な吸収液と蒸気で分離回収する三菱重工の技術は、他の技術に比べて、少ない消費エネルギーで済むのが特長だ。同社は1999年にマレーシアへ初号機を納めたのを皮切りにインド、アラブ首長国連邦、バーレーン、パキスタンに回収技術を供与している。
CO2回収設備はCCS向けに加え、原油価格の高騰に伴い回収CO2を油田に注入することで原油回収率を向上させる原油増進回収向けでも、急速にニーズが高まっており、同社は、今回のようなCCS用途や原油増進回収向け分野でも積極的にアプローチしていく方針だ。