【伊東大厚のトラフィック計量学】トラックのエコドライブとデジタコの活用

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エコドライブとデジタルタコグラフ

配送車のアイドリングストップや高速道路の80 - 90km/h走行をはじめ、トラック事業者がエコドライブに取組んでいることは多くの方がご存知だと思う。トラックのエコドライブは、CO2削減にどの程度貢献しているのだろうか。

トラックやバンなど、貨物自動車の走行距離あたりのCO2排出量は、この10年間で9%、411gから375gに減っている(図1)。走行距離あたりCO2の減少は、実走行燃費の改善を示すものであり、これは貨物エコドライブの成果と言ってよいだろう。

トラック運行管理のツールがデジタルタコグラフだ。デジタコは、速度オーバー、急発進・急ブレーキ回数、アイドリング時間などの運転状況を簡便に解析できる情報システムである。デジタコを活用すると運転指導に説得力が生まれ、成果も見えるため燃費が10%前後改善する。

◆デジタコのCO2削減ポテンシャル

デジタコは99年頃から普及しはじめ、インターネットを活用した低価格・定額のサービスなどバリエーションも増えている。普及率は営業用貨物120万台の2割弱と見られるが、車載機器の購入助成制度や原油高を背景に、普及はこれからも進むだろう。

デジタコを活用したエコドライブのCO2削減ポテンシャルを簡単に試算してみよう。営業用貨物車からのCO2排出量は現在4500万t、燃費改善率を10%、普及率5割(60万台)とすると225万tのCO2削減が見込める。

問題は普及率だ。低価格化しつつあるとはいえ、中小の事業者まで普及するかが懸念される。しかし、大規模事業者から普及するとして、保有台数20 - 50台の中規模事業者までの普及で累計60万台に達するため、5割は実現可能な水準だと思う。

◆普及を加速するには

デジタコの普及を加速するにはどうすればよいだろうか。まず、現在大型トラックなどに限られているタコグラフ装着義務の拡大が有効だと思う。デジタコの活用は燃料費や損保保険料などの削減にも結びつくため、事業者側も受け入れやすいだろう。

また、行政や事業者など関係者間のデータ共有を提案したい。エコドライブの成果指標は実走行燃費だが、燃費性能の向上、渋滞対策、これらいずれも実走行燃費が指標となる(図2)。大型トラックなど重量車にも燃費基準が策定されているため、対策の成果を評価するには、実走行燃費の改善要因をさらに分析する必要が出てくる。

デジタコのデータを活用すれば、燃費や平均速度、運転状況が車両単位でわかる。あらためて調査することなく分析のためのデータが揃うため、行政にとっては調査費の削減になり、データ提供がビジネスになれば事業者のメリットも生まれる。こうした好循環の仕組みを作ることが、普及加速につながると思う。

《伊東大厚》

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