トヨタ自動車の渡辺捷昭社長は8日、2008年3月期の決算会見で、「昨秋から潮目が変わった」と述べ、社内の体質を見直す重要性を強調した。
トヨタは今期(2009年3月期)の業績を9期ぶりに減収減益になると予想した。渡辺社長はこれに対し、「右肩上がりでずっときた体質をもう一度見直して、徹底的な無駄の排除ということを意識の面からも喚起する絶好のチャンス」と語り、「そのことが人を育てることになり、チーム力を上げることになる」と付け加えた。
確かに減収減益に陥るとき、社内の危機意識を高めることはさらなる発展のために重要である。ただ、トヨタの場合、減収減益になるといっても、売上高25兆円、営業利益1兆6000億円、当期純利益1兆2500億円である。
他社からすれば、一体どこまで儲ければ気がすむのかという思いだろう。利益を上げることは株式会社としては非常に大事なことだが、トヨタはいまや日本ナンバーワンの企業であり、日本経済を牽引していく立場にある。自社のことばかりでなく、もっと日本経済全体のことを考えて企業活動を行ってもいいのではないだろうか。トヨタには「日本経済の将来のため」という意識も求められている。