燃料価格の高騰が続くイタリアのガソリンスタンドで4日、ついに軽油価格がレギュラーガソリン価格を超えるという事態が発生した。
これは大手元売り系スタンドの一部が、軽油をレギュラーガソリンよりも4ユーロセント高い1.438ユーロで販売したもの。隣国スイスでは長年、環境政策上軽油価格がガソリンより高く設定されているものの、イタリアでは史上初の“逆転現象”である。
イタリアでは昨年からの原油高騰に合わせ、軽油とレギュラーの価格差が徐々に縮まっていた。いっぽう近年までのディーゼル車ブームの影響で、軽油の需要は減らない。そこで、5月1日から4日のメーデー連休による需要上昇を見越した石油会社が思いきった値付けに踏み切ったとみられる。事実、イタリアではこの連休に移動した人の7割が自動車を使った。
国内の消費者団体は価格低減につなげるため、原油価格に応じたより弾力的な税制を政府に求めている。
イタリアでディーゼル車は2005年に新車登録台数の58%台を占めるまでに至ったが、昨年の原油価格高騰以来人気に陰りが出始め、現在は53%台まで下がっている。一般的にガソリン車よりも高い車両価格に今回の事態が加わり、ディーゼル車の売れ行きはさらに減速するだろう。