【伊東大厚のトラフィック計量学】踏切対策のCO2削減効果

自動車 社会 社会

【伊東大厚のトラフィック計量学】踏切対策のCO2削減効果
  • 【伊東大厚のトラフィック計量学】踏切対策のCO2削減効果
  • 【伊東大厚のトラフィック計量学】踏切対策のCO2削減効果
  • 【伊東大厚のトラフィック計量学】踏切対策のCO2削減効果
◆議定書の目標達成のため強化された踏切対策

バリ島でのCOP13以降、中長期の温室効果ガス削減に注目が集まっているが、わが国では“足許”の京都議定書の目標達成計画の見直しが大詰めを迎えている。運輸部門については昨年末、国土交通省が強化策を発表している。

運輸部門のCO2排出量に限れば、議定書の目標まで残り400万トンとなっているものの、わが国全体では目標を1億トン以上超過している。運輸部門の対策強化は、当面の削減量上積みとともに、「ポスト京都」も見据えた更なる削減を目指すものだ。

強化策では、2010年段階で360万 - 410万トンのCO2削減上積みを見込んでいる。多くは自動車の燃費改善によるものだが、交通円滑化でも60万トン以上の削減を見積もっている(図1)。対策には、高速道路の料金引下げ、路上工事の縮減とともに、踏切の立体交差化が盛り込まれた。


◆2012年度までに150か所の踏切を立体化

踏切の立体交差は、どのくらいのCO2削減効果があるのだろうか。大阪市のJR阪和線の延長4.9kmに及ぶ立体交差化では、12か所の踏切がなくなり効果は6万トンとされている。1か所あたり平均5000トンは、地点対策の効果としては大きな値だ。

今回の強化策では、踏切の立体化をこれまでの倍のスピードで進め、2012年度までに150か所の踏切を立体化するとしている(図2)。CO2は150か所で40万トン削減と見積もられているので、1か所平均2700トン削減できる計算になる。

立体化によるCO2削減効果は、自動車交通量が多く遮断時間の長い踏切ほど大きい。06年現在、全国には1000か所以上の「開かずの踏切」(※1)や「自動車ボトルネック踏切」(※2)があるが、立体化は1か所で数十億円規模の費用がかかる。財源には限りがあるため、立体化は効果の大きな踏切から実施するなど有効な計画作りが望まれる。

※1 開かずの踏切…交通ピーク時1時間のうち40分以上遮断機が降りている踏切
※2 自動車ボトルネック踏切…自動車交通量×遮断時間が5万台・時間以上の踏切


◆よりCO2削減効果をあげるには

立体化を見送らざるを得ない踏切では、あまり時間とお金をかけない速効対策が有効だ。警報開始の判定ロジックを高度化し遮断時間を短縮する“賢い踏切”(図3)や、青信号なら自動車の一旦停止が不要となる踏切信号機の導入は、効果の上積みが期待できる対策だ。

全国には、安全面も含め緊急対策が必要とされる踏切だけでも1960か所あるという。また京都議定書は今年から5年間の評価期間に入る。評価期間の終了を迎える前に1960か所すべての踏切で対策を完了させることは、必達の目標となるだろう。
《伊東大厚》

関連ニュース

レスポンスコメント欄(β)開設!ぜひ気になる記事にコメントしてください

特集

おすすめの商品