「警官の証言は信用できない」として被告無罪に

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今年2月、山口県阿東町内の国道9号で速度違反の摘発を受けた際、警官に向かって大型トラックを急発進させたとして、公務執行妨害罪に問われた40歳の男性に対する判決公判が13日、山口地裁で開かれた。裁判所は「警官の証言が信用できない」として、男性に無罪を言い渡している。

問題の事件は今年2月23日に発生した。阿東町地福下付近の国道9号で速度超過を行ったとして摘発を受けた大型トラックが、取り締まりを行った警官が車体前方で抑止しているにも関わらず急発進した。警官は拳銃を抜いて威嚇、運転していた40歳の男性を公務執行妨害の容疑で逮捕した。

男性は逮捕当時には容疑を認めていたが、公判では「急発進の事実はない」と否認に転じた。大型トラックにはタコグラフが装備されていたが、事故当日の記録紙は警察署内での車両保管中に紛失。急発進を示す客観的な証拠が失われた中で公判が進行していた。

13日に開かれた判決公判で、山口地裁の山本恵三裁判官は「被告が運転する大型車が走行した距離は1 - 2mであり、現場にいた警官の証言からも急発進や急停止を明確に根拠づける内容はない」と指摘。居合わせた警官がトラックの発進前に拳銃を抜き、威嚇していたなどの経緯から「拳銃を抜いた過剰反応が問題化することを恐れ、自己を正当化する目的でトラックが急発進や急停止したように虚偽を述べたり、事実を誇張している疑いも考えられる」とした。

また、裁判官は署内での保管中にタコグラフ記録紙を紛失したことにも触れ、「タコグラフにトラックの急発進や急停止が明瞭に記録されていないことを知り、虚偽供述の発覚を危惧し、内々に処分した可能性を否定できない」とも指摘。「これら事実を合わせれば警官の証言は信用できず、起訴事実の確実な根拠とは言えない」として、被告の男性に無罪を言い渡した。

検察側は控訴する方針だという。
《石田真一》

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