トーヨータイヤのスタッドレスタイヤといえば、「クルミの殻」を用いたことで有名だが、そのわかりやすいイメージで販売本数を伸ばしているそうだ。実際に氷をクルミの殻でガリット引っ掻いてグリップを出しているのかどうかは見たことがないが、長年これで押しているところを見ると、氷上グリップに対して絶大な効果をもたらしてくれている証だろう。クルミの殻はクルマ1台分で700万粒内包されているというから凄い数だ。
アイスバーンではその表面の薄い水膜を取り除くことがグリップを確保するポイントになるが、「吸水カーボニックパウダー」というものを配合して、薄い水膜をゴムが吸い取り直接アイスバーンとゴムが接触するようにしてグリップを確保している。これをNEO吸水クルミックスゴムと呼んでいる。
『ガリットG4』のゴムの配合以外の特徴はトレッドパターンにある。「スパイダーサイプ」と呼ぶ6角形の切れ込みがひとつ一つのブロックの中に刻まれているところがユニークだ。6角形の切れ込みの周辺には放射状に蜘蛛の足のようにサイプを入れることにより、全方位的にエッジ効果を出しアイスバーンでのグリップを引き出している。
このスパイダーサイプも「NEO Gテクノフェイス」と呼ばれるトレッドパターンの特徴のひとつだ。このほかにもNEO Gテクノフェイスは「大振幅波型サイプ」「厚み違いサイプ」「溝底補強ブロック」「3Dサイプ」「Vカッター」などがある。
大振幅波型サイプはトレッド面中央のセンターリブに描かれている。リムの中を大きく蛇行するようにS字のサイプが刻まれているが、これにより全方向に優れたエッジ効果を発揮する。また、厚み違いサイプは部分的にサイプの位置を変え、ゴムの厚み違いを採用することによって、制動時にサイプを閉じにくくして大きなエッジ効果と除水効果を発揮するようにしているのだ。
溝底補強ブロックはグルーブの底に出っ張りを設けて制動時やコーナリング時にとなりのブロックといっしょに倒れこまないように支える役目をもち、ブロックの内部にデザインされている3Dサイプによって、大きな力がかかるドライ路面でのブロック剛性を確保している。
Vカッターとはバットレス部分(ショルダーとトレッド面との中間)の形状を表す。わだち路でVカッターが強力なエッジ効果を発揮し、安定した走行ができるようにしている。
ユニークなアプローチが特色のトーヨータイヤであるが、スタッドレスタイヤも夏タイヤ以上におもしろい機能アプローチが盛りだくさんだ。