ホンダ インターナビ、フローティングカーデータと道路行政のギブアンドテイク構築へ

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本田技研工業(ホンダ)と埼玉県は4日、インターナビのフローティングカーデータを用いた相互情報連携の取り組みを行うと発表した。ホンダは累計3億kmを越えたフローティングカーデータのうち、埼玉県内のエリアデータを県の道路政策課に提供。道路の課環境改善や道路政策の基礎データ提供で協力する一方で、埼玉県からは新設道路の情報や各種防災情報を得る形で協力し合う。

今回の相互情報連携は、埼玉県とホンダの両方に多くのメリットがある。その具体例を見ていこう。

まず、埼玉県側のフローティング情報活用は、大きく4分野で行われる。

(1)道路整備後の効果測定

バイパス道路の建設や、県道の改善などを行ったのちに、対象道路や周辺道路に対して、"渋滞解消効果がどれだけ現れているか"をフローティング情報を用いて行う。従来、このような効果測定は、調査員による道路観測調査や実車走行によって行っていたが、それらは人出・コストがかかり、取得できるデータ量にも限界があった。しかし、ホンダのフローティングカー情報を用いることで、従来よりも低コストかつ高精度な効果測定が可能になるという。

「県の道路観測調査に比べてフローティングデータを送出する母数がケタ違いに多くなりますので情報の精度が大きく向上します。当面は現在の道路観測調査と運用になりますが、将来的にはフローティング情報活用を中心とすることで県の効果測定費用の削減にも繋がる可能性があるでしょう」(本田技研工業インターナビ推進室インターナビ推進ブロック主任の平井精明氏)

(2)渋滞発生ポイントの抽出

県内の道路における渋滞発生状況をフローティング情報から抽出・統計化し、渋滞が発生しやすい道路の把握や渋滞原因の究明をする。これは渋滞箇所や発生原因の"見える化"をすることで、より的確かつ効果的な道路改善を行うのが狙いである。

フローティングカー情報の場合、渋滞が発生しやすい道路はもちろん、"渋滞が発生しやすい時間"や"渋滞の始点となる場所"がピンポイントで特定できる。そのため「渋滞が発生しやすい時間・場所を特定してから、県が調査員を派遣することで、渋滞原因の究明が的確にできる」(インターナビ推進室 企画開発ブロックチーフの石川一騎氏)のだ。

(3)高速道路到達エリアマップの作成・提供

埼玉県では、県内の高速道路の各IC(インターチェンジ)に「20分以内に到達できる」道路環境整備を目指している。従来、この「20分以内」の測定は、調査員による実車走行テストによって調べていたが、フローティング情報を用いて、より綿密かつ視覚的な「高速道路到達エリアマップ」を作るという。

この高速道路エリアマップの制作は、県民への情報提供サービスとして利用されるほか、今後の道路整備の指標としても用いられる予定だ。道路建設が、ドライバーの実効的なメリットに繋がるようにする上でも意義のある取り組みといえる。

(4)ヒヤリマップの作成

現実の道路環境には、"事故の起きやすい場所"が存在する。従来、このような要注意ポイントの情報は、警察が持つ過去の交通事故発生データなどから作られていたが、ホンダ=埼玉県の相互情報連携でフローティング情報を利用したより精度の高い「ヒヤリマップ」の作成を行う。

具体的には、インターナビユーザーから送られてくるフローティング情報の中から、急減速を行った位置座標を抽出・統計化。発生箇所と方向ごとに統計化、分析することで、地図上に「危ない場所」を特定していくというものだ。

このようなヒヤリハット情報の地図化は、これまでのITSでは、ブレーキやスタビリティコントロールの作動情報をモニタリングする形での実現が考えられていた。しかし、ホンダによると「現在のインターナビが収集している車両速度の抽出・統計化だけでも実用的なものが作れる」(平井氏)という。

《神尾寿》

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