「カーナビ開発の6割はユーザーインターフェイスの追求です」アルパイン水上恭一氏

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「カーナビ開発の6割はユーザーインターフェイスの追求です」アルパイン水上恭一氏
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“カーナビ”と呼んでいる車載機の進歩は次第に速くなってきている。かつての"道案内の道具"から、AV機能の内包、テレマティクス、ITSなど様々な要素が“カーナビ”に組み込まれるようになった。特に年々搭載率があがる純正カーナビ分野では、クルマの情報系入出力インターフェイスとして液晶画面を共有する傾向が強くなった。クルマのインテリアデザインとの調和も求められ、カーナビ開発の負担は増すばかり。これをどう軽減し、よい製品を作るかが、メーカーの重要な課題になっている。

カーナビ開発の現状はどのようになっているのか。また、開発の効率性という課題にどのように臨むのか。アルパイン商品企画部OEM商品企画グループ チームリーダーの水上恭一氏を東京モーターショーアルパインブースで直撃した。

---- 最近のカーナビ市場を見ますと「地デジ対応」が大きなテーマだったわけですが、今後はiPodの連携強化や地図更新、インターフェイスの洗練など、多くの機能が強化・競争ポイントになっています。この5年でカーナビ機能の多様化、製品化で求められるスピード感はずいぶんと変わりましたね。

水上) ええ、特に圧縮オーディオ系のアプリケーション需要が高くなりました。昔のカーナビ作りはナビゲーションの部分を中心に考えればよかったのですけれど、今ではナビだけでなく、圧縮オーディオなど複数のアプリケーションをどう動かすかが重要になっています。

---- アルパインでは早いタイミングでWindows Automotiveを採用していましたが、その狙いは、今のカーナビが置かれた市場環境から見て目論見どおりになったのでしょうか。

水上) カーナビの市場環境がマイクロソフトの(Windows Automotiveが)考えた方向には進んできていますね。マルチソース、マルチアプリケーション時代に、旧来のカーナビ用OSでは対応しきれなくなっていたのは確かです。

当時、我々がWindows Automotiveを採用した理由はふたつありました。ひとつは、(採用検討時期は)ちょうど「AVN (Audio Visual Navigation)」の流れができはじめていた頃でもあって、この"AVN時代に最適なカーナビOSは何か"と考えたときに、Windows Automotiveが最適であったこと。
 
そして、もうひとつは「開発効率」です。前者のAVN時代向けのカーナビOSという観点では、極論すれば日本メーカーすべてが大同結集してLinuxベースの国産OSを作るという選択肢もありました。しかし、WindowsベースのWindows Automotiveならば開発環境やツール類が整っていて、社内外での分業開発が容易になると考えられた。Windowsの開発環境と、それによる開発効率の高さ。これを活用しない手はないだろう、と考えました。

---- Windows Automotiveは、Windows VistaやWindows Mobileなど他のWindowsファミリーに比べ若干特殊性のあるものだと思うのですが、例えばソフトウェア開発の一部をアウトソースするといったことも可能なのですか。

水上) 基本的にWindowsの開発スキルとノウハウがあるベンダーなら、Windows Automotiveのアプリケーション開発の受託もできるでしょう。特にAV系の部分はそれほど特殊性はない。逆にクルマの車載デバイスとの連携や、ナビゲーションの部分は少し難しいかもしれません。

----- これはカーナビに限りませんが、プラットフォームを大きく変更し、その経済的効果を得るには時間がかかります。アルパインではWindows開発環境を採用した効果は、すでに出てきているのでしょうか。

水上) そうですね。圧縮オーディオ周りやiPod連携など、部分的には出てきています。最近投入したアルパイン『モービル・メディア・ステーション X075』でも、通信系や圧縮オーディオ系などはマイクロソフトが用意した基本ソフトウェアパッケージを活用しています。段階的にではありますが、Windows Automotive採用のメリットは顕在化しています。

---- 汎用OSを採用すると、メーカーの個性が減少するのではないかという議論もありますが、その点はいかがでしょうか。

水上) カーナビゲーションは他の製品と比べると独特の部分があって、ナビゲーションエンジンやUI(ユーザーインターフェイス)が商品性を大きく左右します。

製品全体のレイヤーで見ますと、上位にあたるUIと、下位のベーシックな部分となるGPSや車速パルス、3Dジャイロなどナビゲーション用のハードウェアと繋がるソフトウェアがカーナビの大きな差別化要素になる。そのため中間レイヤーであるOSの部分やメディアプレーヤーなどのベーシックなアプリケーションにおいて、汎用的なソフトウェアを採用しても、それ以外の部分が競争領域として大きいのでデメリットがないのです。むしろ汎用化し、開発コストの低減やソフトウェアのリユース環境を得るメリットの方が大きい。

---- アルパインはOEMメーカーとして複数の自動車メーカー向けカーナビも作っていらっしゃいますね。

水上) グローバルで見ると、(自動車メーカー)5社の純正カーナビに関わっていますね。BMW、ベンツ、ホンダ、GM、クライスラーです。

---- 個性の強いメーカーばかりです。 OEMとしてカーナビの作り分けをするのが大変ではないですか。

水上) そういう意味ですと、Windows AutomotiveはUIのレイヤーが(OSやアプリケーションとは)分離していますから、きちんと作り分けできるのですよ。また、最近のトレンドとしては、ナビをAVN以外の機能、例えばエアコンのコントロールやパーキングアシストなどのUIとしても使いたいというニーズも増えています。これら「クルマのアプリケーション」をカーナビ画面に組み込む際にも、UIのレイヤーで連携すればいいというメリットがあります。よってUI開発は自動車メーカーとの共同開発となります。

---- そうして考えると、カーナビ開発におけるUIの領域はずいぶんと大きそうですね。

水上) カーナビ開発においてUIが占める部分は全体の6割程度です。この部分がどれだけ合理的になるかというのは、非常に重要なのです。自動車メーカーから見れば、カーナビのUIも「クルマの部品」という傾向になってきていますので、今後もさらにUIの重要性は増してくる。

このような背景で考えますと、Windows AutomotiveのUIレイヤーが独立しているというのは、我々(車載機メーカー)にとって使いやすい開発環境になっていると言えます。

---- UI開発のレイヤー化による工数削減で、全体に対する工数の割合は下がりますか。

水上) 割合は高いままです(笑)。汎用OSの利用でUI以外の部分の工数が大幅に削減できたこと、そして多用途化によりUIの重要性が増し、車載機としてより多くのUI開発が求められるようになりました。

---- 今後のカーナビの進化で重要なポイントはどのようなものになるのでしょうか。

水上) 将来を見据えると、クルマの車載機器やネットワーク連携の必要性はますます強くなると思います。特にITS関連の機能はカーナビと連携してくるでしょう。そのためWindows Automotiveも、他のアプリケーションや車載ネットワークとの接続性をもっと高める必要がある。また、インターネット接続という視点では、テレマティクスのようなクルマ専用のサービスが増えてくると予想されますから、これらとの接続性も重要になります。

---- 車載機の世界では“他者との接続・連携”ができる柔軟性が求められるわけですね。

本日はどうもありがとうございました。
《神尾寿》

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