【池原照雄の単眼複眼】「世界一」でなく「町いちばん」…トヨタの2020年ビジョン

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【池原照雄の単眼複眼】「世界一」でなく「町いちばん」…トヨタの2020年ビジョン
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「自然循環との調和」を背骨に

トヨタ自動車は「世界1」後の長期経営指針となる「グローバルビジョン2020」を策定した。これまでの2010年ビジョンに盛り込まれていた「世界シェア15%」といた数値的な目標はないものの、新ビジョンからは産業リーダーとしての十数年後のトヨタ像が浮き上がってくる。

02年に策定した10年ビジョンの時は社内外にニュースリリースとして発信したが「基本的に社内向けのメッセージ」(広報部)ということで、今回は外部への大々的な発表は控えた。社員が理解しやすいようにと、全体を6つのテーマでくくり、カラー刷りパンフレットにまとめられている。

ビジョンの背骨として第1に掲げたのは「モノづくりと自然循環との調和へ」。渡辺捷昭社長が今年7月の記者会見で新たな指針として提示した「モビリティ」など3つの「サスティナビリティー」を念頭に、トヨタのモノづくりの前提は「地球環境を持続的なものとする」方針を改めて強調した。

◆HVの全モデル展開を宣言

そのうえで20年までの技術開発での「進化」の方向を「クルマ」と、クルマから創出する「新分野」の両面で提示している。クルマでは、世界の環境対応技術をリードしてきたハイブリッド(HV)について、「全モデル展開」を宣言した。

プラグインHVなど新システムを含めて全車種へのHV設定を推進する。また、渡辺社長が夢のクルマとしてよく引き合いに出す、ぶつからないクルマづくりにも鋭意アプローチする。具体策として道路などインフラとも協調した「高度な運転支援システム」の実用化を掲げた。

◆パートナーロボットを第3の柱に

一方の「新分野」では(1)パートナーロボットの実用化、(2)次世代電池の事業化、(3)燃料やプラスチックなどバイオ資源の普及を挙げている。

ロボットについては「中核事業」に育成すると強調、クルマ、住宅に次ぐ第3の柱と位置づけた。次世代電池については小型高性能2次バッテリーや燃料電池に注力し、クルマ以外の産業分野での事業化も目指す方針だ。

締めくくりでは、トヨタが目指すのは「町いちばんの企業」と訴えている。「町いちばん」とは「地域社会と持続的な成長を分かち合う」ことのできる企業とし、販売部門を含む個々のグループ企業に地域社会との調和を呼びかけている。

「町いちばん」の集合体が自然循環と調和する「地球にいちばんの企業」につながるというもので、「メッセージ」や「ことば」を重視する渡辺社長ならではの言い回しでもある。

《池原照雄》

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