【神尾寿のアンプラグド特別編】世界に先駆け、ANAが国内線をeチケットに全面移行

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07年中に国内線をeチケットサービス「SKIPサービス」に全面移行

8月29日、全日本空輸(ANA)が国内線航空券を「eチケット」(電子航空券)に全面移行すると発表した。従来からある磁気ストライプ入りの紙の航空券に代わり、ANAは2007年中に国内線を同社のeチケットサービス「SKIPサービス」利用に切り替える予定だ。

今回、ANAが移行するSKIPサービスは、非接触IC「FeliCa」内蔵のANAマイレージカードもしくはおサイフケータイ、二次元バーコードの「QRコード」を従来の航空券や搭乗券の代わりとして使うもの。同社では2006年から導入、対応空港を拡大してきた。

同サービスでは、従来のチケットの代わりに、FeliCa内蔵カード/おサイフケータイや、QRコードを専用読み取り機に"かざす"だけでよく、スピーディな読み取り処理と、チケットの紙詰まりなどが起きないトラブル防止効果がある。

◆愛媛県・松山空港で移行トライアル開始

今回のSKIPサービス全面移行は、全国一斉に行われるわけではない。まずは9月4日から愛媛県の松山空港で完全移行トライアルの運用が行われており、10月以降、全国の空港が順次完全移行に踏み切るシナリオだ。羽田など発着便や乗り継ぎが多い大空港が対応するのは、「移行スケジュールの後半、12月に入ってからになる」(全日空社員)模様だ。

では、なぜ移行開始が松山空港からなのか。その理由としてANAは、松山空港が新サービスへの移行を始めるにあたり、好立地や好条件が重なっていると話す。

「松山空港は悪天候による欠航などイレギュラーな運航が少なく、かつ路線間の乗り継ぎが少ない。全面移行のプロセスを検証する上で、最適な空港です。さらに松山空港スタッフも協力的で、全面移行を進めやすかった」(全日本空輸オペレーション統括本部旅客サービス部主席部員の山本正人氏)

松山空港の年間利用者は約270万人。そのうちANAの利用者は約160万という状況である。ビジネス客と観光客の利用がほぼ半々で、様々な搭乗ニーズにおけるeチケット化の影響が見られる。トライアルには最適な場所だったということだ。

◆使いやすくなったSKIPサービス。移行初日は混乱なし

紙の航空券からeチケットへ。この全面移行に踏み切るにあたり、SKIPサービスそのものの改善も行われた。

まず、これまで24か所だったSKIPサービス対応空港を、ANAが発着する国内50空港すべてに拡大。SKIPサービスが利用できる路線と利用できない路線が混在する状況がなくなる。さらに自動チェックイン機や航空券販売機など機材も一新され、より画面が大きく、FeliCaカードとQRコードをかざす場所も1か所に集約されて使いやすくなった。

「従来のSKIPサービスでお客様の不満が大きかった『SKIPサービス利用時は手荷物が預けられない』点も、全面移行で改善します。手荷物カウンターでもSKIPサービスの読み取り機が設置されますので、カードやQRコードをかざすだけで、荷物が預けられるようになる」(山本氏)

筆者は9月4日に、SKIPサービス全面移行が始まった松山空港を訪れたが、トラブルや混乱は見られなかった。地上係員のサポート体制がしっかりと用意されていることもあり、初めは戸惑っていた利用者も、説明を受ければ"かざす"という使い方に困惑はないようだ。

他の公共交通で見れば、JR東日本の「Suica」を代表とするIC乗車券システムが鉄道・バスで急速に普及。タクシーも、FeliCaを使った各種電子マネー対応が進んでいる。今回、実験の地に選ばれた松山でも、伊予鉄道が独自のIC乗車券/電子マネーシステム「ICい〜カード」を展開しており、鉄道・バス・路面電車・タクシーが、カードやおサイフケータイを"かざす"だけで利用できる。この"かざす・タッチする"だけで簡単に公共交通に乗れる環境が、航空業界にも広がると、ANAの山本氏は話す。

「カードやおサイフケータイ、QRコードなどを“かざして公共交通に乗る"ことは、電車やバスを中心に広く広がってきている。ANAはSKIPサービスによって、飛行機に"かざして搭乗するスタイル"を定着させたいと考えています。また世界の航空業界を見ても、eチケットへの移行は確実な流れです。我々は世界で初めて、eチケットへの全面移行をSKIPサービスで行います」(山本氏)

FeliCaは日本中心で普及している方式だが、海外でも二次元バーコードを使ったeチケットに移行する動きがでている。磁気ストライプ型の航空券がなくなるのは、世界的な流れだ。ANAのSKIPサービス用機材は、国際二次元バーコードにも対応済みであり、将来的には海外発券されたeチケットの利用も可能だという。

チケットレスやキャッシュレスは、今や公共交通全般に広がる動きだ。これにより異なる交通機関や事業者同士の連携も進んでおり、利用者の乗り継ぎや乗り換えの利便性向上、付加価値サービスの提供が可能な「土台」ができはじめている。鉄道業界から始まり、航空業界にまで広がったeチケットの動きに注目しておいて損はないだろう。

《神尾寿》

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