長崎県警は25日、実子(三男)に1億円以上の生命保険を掛けたうえで、バイクを運転中に交通事故を起こしたと見せかけて殺害した75歳の男と、殺害に協力した男女2人を殺人容疑で逮捕した。事故当時は単独事故として処理されたという。
長崎県警・捜査1課によると、逮捕されたのは長崎県大村市内に在住する75歳の男と、この男から殺人依頼を受けて協力した同市内在住の62歳の女と、73歳の男。3人は共謀し、2003年7月1日の午後10時ごろ、大村市東大村1丁目付近の山林で26歳の男性を殺害。遺体を現場付近の側溝に放置した疑いがもたれている。
当時、主犯の男は「バイクで出かけたまま行方不明になっていた三男がバイク事故を起こし、山林内の道路で倒れているのを発見した」と地元消防に通報した。救急隊員が現場に急行した際には男性はすでに死亡。倒れていた側溝には約10cmほどの水深で水が流れており、転倒して動けなくなった男性が顔に水を浸からせたまま溺死したものと判断された。死亡した男性の体には事故で生じたものとは考えられない争ったような傷もあったが、主犯の男は「あいつはケンカ早いやつだった」と説明。司法解剖はこの男が「遺体を傷つけたくない。事情を酌んでください」と断ってきたという。
結果、男性は単独事故で死亡と処理されたが、その後「男から事故で死亡した男性を殺害するように依頼されたことがある」と、複数のルートから情報が寄せられた。警察が内偵捜査を進めていたところ、死亡した男性には総額1億円以上の生命保険金が掛けられており、男がこれを受け取っていたことが判明。さらに調べを進めたところ、殺害の依頼を受けた福岡県内在住の男性が、成功報酬の額などを記した念書を有していることもわかり、男の殺害依頼が真実であったことも明らかになった。
警察は「事故は保険金目的の殺人だった」と判断。男の交友関係を調べたところ、男から金を借りていた男女が実行犯として犯行に加わった可能性が高くなり、25日までに逮捕した。主犯の男は「身に覚えがない。言いがかりだ」と事件への関与を全面的に否認。実行犯の2人は関与を示唆する供述を始めているという。