今年6月、兵庫県尼崎市内の県道を蛇行状態で走行してきたワゴン車に歩行者がはねられ、さらにはタクシーと衝突して3人が死亡した事故について検察庁・神戸地検尼崎支部は13日、このワゴン車を泥酔状態で運転していた50歳の男を危険運転致死などの罪で起訴した。
問題の事故は今年6月23日の午後9時30分ごろ発生している。尼崎市南塚口町付近の県道を蛇行状態で走行していたワゴン車が歩道に乗り上げ、歩いていた29歳の男性を背後からはねた。クルマはそのまま走り去り、約800m離れた尼崎市三反田町付近で路上駐車していたクルマを避けようと急ハンドルを切ったところ対向車線側に逸脱。タクシーと正面衝突する事故を起こした。はねられた男性は死亡。タクシーも大破し、客として乗り合わせていた68歳の女性と、48歳の男性運転手が死亡した。
警察はワゴン車を運転していた50歳の男を逮捕。逮捕はされた後は「コンビニエンスストアで買ったビールなどを飲んでいた」と供述していたが、事故当日に男と一緒に酒を飲んだという2人の知人が警察に連絡。この結果、男は事故当日の午前7時ごろから酒を飲み始め、以後は断続的に夜まで酒を飲み続けていたことが判明した。この間、酔い潰れて数回の居眠りを行っていたという。事故当日の行動について男はほとんど記憶しておらず、知人の証言が行われた後も「わからない」などと話していた。
また、この男は1983年と1999年に飲酒運転の摘発を受けていたが、周囲の知人に対して「昼間なら飲酒運転してもわからないし、警察に捕まらない」などと話していたこともあった。事故当日の行動や、こうした言動から、検察では男が日常的に飲酒運転を繰り返していた可能性がが高いと判断。事故も悪質であるとして危険運転致死罪での起訴を決定した。