矢野経済研究所は、「2007-08年版 カーエレクトロニクス市場の実態と中期展望--世界での勝負球は『予防安全』『組込みソフト』『燃費規制対応』--」をまとめた。
日本のカーエレクトロニクス産業について、メーカー各社の生産実態、提携戦略、開発戦略、次世代市場への考え方などに関して、国内主要自動車メーカー、カーエレメーカ50社に対する調査を実施したもの。調査対象はカーエレクトロニクス製品36品目。
調査結果によると、2006年の日本自動車メーカーの海外現地生産台数は約1100万台で、国内生産台数1170万台に匹敵するようになった。海外メーカーとの競争のため、海外生産車にもアクティブセイフティ(予防安全)搭載は進む見通し。特にBRICsなどで競争激化するスモールカーに対してもアクティブセイフティ搭載が進む可能性も出てきたことが明らかになった。
2001年から2012年にかけてのカーエレクトロニクス装置国内生産推移(台数ベース、国内出荷+輸出)を予測すると、他の分野のカーエレクトロニクスがいずれも104−107%程度の成長率なのに対して、アクティブセイフティの平均成長率は162.9%となり圧倒的に急成長市場であることも分かった。
海外での生産台数の増加のため、日系自動車メーカーは、世界中のどこで生産を行う場合でもコストを抑え、その上で同じ品質のソフトを開発できるように体制を構築中だ。このため、世界標準での組込みソフト基本プラットフォーム規格を確立させようと試みている。
一方、日系自動車メーカーの年間生産台数は、全世界の生産台数の3分の1を占める。このため、環境問題でも世界の3分の1の責任を負う。ハイブリッドやディーゼルエンジン搭載モデルが増えていくものの、スモールカーの場合「エンジンの燃焼効率化」や「CVTなど新型変速機の導入」などのカーエレクトロニクス技術が鍵を握っていると分析している。