E61/X01NK、Advanced W-ZERO3[es]にオプションのGPSユニットが登場
6月5日、ノキア・ジャパンがBluetooth(ブルートゥース)対応の携帯電話やPDAに接続して利用できるGPSモジュール『Nokia Wireless GPS Module LD-3W』(LD-3W)を発売した。
これは重量約65gの小型のユニットで、GPS情報を送受信するためのプロトコル「NMEA」に対応する。ノキア製のスマートフォンと組み合わせることで、GPSを使った様々なアプリケーションが利用可能になる。日本市場向けに発売されているスマートフォンでは、「Nokia E61」(スタンダードモデル)と「Nokia E61 / SoftBank X01NK」(ソフトバンクモバイル)が、LD-3Wに対応する。
LD-3Wの発売に合わせて、ノキア製スマートフォン向けに提供されているGPSナビゲーションサービス「NAVITIME」もバージョンアップ。スマートフォン向けサービスもGPS対応になった。これにより従来の地図表示をメーンとした使い方だけでなく、より正確な位置表示や歩行者ナビゲーションが可能になった。
一方、国産スマートフォンの元祖であるウィルコムの「W-ZERO3」シリーズもGPS対応が始まった。ウィルコムは6月7日、W-ZERO3シリーズの最新モデル「Advanced W-ZERO3[es]」を発表。同日、アイ・オー・データ機器が「Advanced W-ZERO3[es]」および先代「W-ZERO3[es]」に対応するGPSレシーバー「USBGPS2/WS」を発表した。
Advanced W-ZERO3[es]にはナビタイムジャパンの「NAVITIME」がプリインストールされることになり、USBGPS2/WSを接続した状態では歩行者向けGPSナビゲーションが利用できる。
◆国内向けのSymbian、Windows MobileがGPSナビ対応
今回の国内市場向けスマートフォンのGPS対応には、ひとつの注目ポイントがある。それはNokia E61がSymbianOS S60、Advanced W-ZERO3 esがWindows Mobile 6.0という、“スマートフォン2大勢力”の最新プラットフォームを採用している点だ。日本市場では今年、スマートフォンの投入数が増えると予想されるが、それらはこのどちらかのOSを採用している。今回、GPSレシーバーとNAVITIMEアプリが両プラットフォームに登場したことにより、今後の日本市場向けスマートフォンは、GPSナビゲーション機能を標準もしくはオプションで利用できるようになる。
海外市場に目を向けると、スマートフォン分野の成長と歩調をあわせて、スマートフォン向けの地図サービスやGPSナビゲーションサービスが急成長している。GoogleやYahoo!もスマートフォン向けの地図+GPS向けサービスを重視しており、この分野の潜在的な可能性は大きい。また、スマートフォンをPND代わりとして使うサービスも登場してきている。
翻って日本市場に目を向けると、コンシューマー向けのGPSナビゲーションサービスは、auやドコモの携帯電話サービスが牽引している。その代表格はKDDIとナビタイムジャパンが共同運営する「EZナビウォーク」で、会員数はすでに140万人を突破している。日本ではスマートフォンが個人ユーザーにそれほど受け入れられていないこともあり、コンシューマー向けのGPSナビゲーション市場は、当面は各キャリアの携帯電話サービスが牽引する形になるだろう。
しかし、その一方で、スマートフォンは法人向けのモバイルソリューション分野で着実に勢力を伸ばし始めている。SymbianやWindows Mobileはアプリケーションの応用性や柔軟性が高いことから、今後、様々な法人向けソリューションで活用されていくだろう。スマートフォンのGPS対応は、“位置と地図”を組み合わせた機能やサービスを実現する礎になる。今後、GPS対応スマートフォンのPND的な活用が始まれば、商用車テレマティクスの新たな選択肢になる可能性もあるだろう。
GPS携帯電話とは別の視点で、スマートフォンのGPS対応とその活用には、注目しておく価値がある。