佐賀県唐津市内の県道で小学生の男児をはね、適切な救護義務を果たさず山中に放置したとして、殺人未遂の罪に問われた54歳の男に対する論告求刑公判が15日、佐賀地裁で開かれた。検察は殺意が生じていたとして、懲役7年を求刑している。
問題の事故は2006年5月20日夕方に発生した。被告の男は唐津市厳木町星領付近の県道をトラックで走行中、交差道路を自転車で進行してきた小学5年生の男児をはねた。男児は頭部骨折などで意識不明の重体となったが、男は「男児はもう死ぬ」と思い込み、適切な救護義務を果たさずに男児を連れ去り、現場から約3km離れた森林公園内の林道に放置した。男児は後に発見されたが、脳挫傷などで全治数カ月の重傷を負っている。
検察は「男に確定的殺意があった」とみなして殺人未遂罪で起訴。「殺意は無かった」と被告弁護側は主張したが、検察側は「被告は事故を起こした責任から逃れるため、男児を人知れず死亡させようとした」などと、未必の殺意が生じていたと反論している。
15日に行われた論告求刑公判で、検察側は「被告は事故の発覚を隠蔽する目的もあり、男児が死亡するのを積極的に望んだ。重傷者を人目につきにくい場所に放置するのは事故を起こした者として絶対してはならない犯行。確定的殺意は明らか」として、裁判所に対して懲役7年を求めた。