今年10月に栃木県宇都宮市で発生した集団登校中の小学生児童に対しての、故意によるクルマ衝突事件について、検察庁・宇都宮地検は7日、64歳の男を傷害罪で起訴した。殺人未遂の適用を求める声も多かったが、殺意が証明できないとして見送った。
問題の事件は10月27日朝に発生した。宇都宮市江曽島本町付近の市道を集団登校のために歩いていた小学生の列に対し、後ろから走ってきた乗用車が衝突。執拗な前後動を繰り返して何度もはねた。
運転していた64歳の男は車内からナタを取り出し、救助に入ろうとした近所の人を追い回したり、近くの民家に侵入しようとしたが、家人に追い出されて通行人に取り押さえられ、駆けつけた警察官に引き渡された。一連の事故で小学生2人が重軽傷、男を取り押さえようとした男性も頭や顔などを切られる軽傷を負った。
クルマを運転していた男は殺人未遂と銃刀法違反の容疑で逮捕されており、近隣住民に対する怨恨が事件の発端であると考えられた。凶器を用意するなどの事前準備は確認されるものの、殺意を感じさせるような供述はなく、児童への衝突速度も比較的低速だったことから「殺人未遂に問うのは難しい」と判断。傷害罪で起訴することを決めた。