トヨタ『カローラフィールダー』のラゲッジには世界初の装備が隠されている。それがワンタッチ格納リヤシートだ。ラゲッジ側面にあるレバーを引けば、リヤシートの座面が自動的に跳ね上がり、同時にリヤシートバックが倒されるというもの。
今までもシートバックが倒れるだけのものなら、日産『ステージア』などが古くから採用しているが、先に座面が跳ね上がるのは世界初だという。
カローラのチーフエンジニアを務めた藤田博也さんは「他車のようにシングルフォールディングにすればワンタッチ化は簡単だったのですが、シングルフォールディングにするとシートクッションが薄くなってしまいます。そこで私達は座り心地を悪化せずに、ワンタッチ化するにはどうしたらよいかを考え、この方法を選びました」
「このシステムはバネとダンパーの力を組み合わせて利用しているのですが、その動く速度や、元に戻すときの力加減のチューニングには苦労しました。その結果、驚くほど上質な動きにセッティングすることができました」という。
ワンタッチ格納リヤシートを操作してみると、確かに上質な動きを見せてくれた。最初は音もなく座面が跳ね上がり、次にゆっくりとシートバックが前に倒れて、フラットなラゲッジを作り上げてくれる。戻すときにもスプリングやダンパーの抵抗によって、操作が重くなることもなく、楽に戻すことができる。
機構的には単純なものかもしれないが、このゆっくりとした動きは、まさにトヨタクオリティを感じさせてくれる。展示車などを見かけたら、是非体験して欲しい。