スマートICの行方、地元の判断次第

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はたして日本の高速道路にスマートインターチェンジ(スマートIC)は普及するのか。全国31カ所でスマートICの社会実験が継続中だが、9月末日で、このうち18カ所の社会実験が終了する。その後もスマートICを継続するのか否か、この18カ所に関係する自治体の決断が、スマートICの未来を暗示する。

先頃、サービスエリア(SA)、パーキングエリア(PA)接続型のスマートIC制度本格導入のための実施要項が明らかになった。スマートICが高速道路の制度として確立した後のルールを記したものだ。そのポイントは「地元の発意」と「地元の負担」。高速道路の利便性は地元自らが作り出し、コストは地元が負担するという基本姿勢だ。

スマートICとは、高速道路と一般道路の接続をETC利用に限定し、既設のICでは通過するだけになっていた地域の利便性を高めるもの。接続の場所を選ばず、建設費も安く抑えられる。それでも建設コストは1カ所あたり1億円以上。料金徴収施設の設置は高速道路会社、SA、PAと接続道路を結ぶアクセス区間の整備は自治体などが負担することになる。

さらに、整備後の管理運営のコストも、高速道路会社はそのスマートICの収益の範囲内でしか負担しない。利用者が少なくコスト割れした場合は、すべて地元が負担する可能性を含んでいるのが、この制度の怖いところだ。

スマートICの設置は、もともと利用者は少ないが地元の利便性を考えて作られる。社会実験を実施している全国31カ所も、既存のICのように24時間通行できるところは少数で、ほとんどは、深夜から早朝にかけて閉鎖している。

31カ所の実施場所では、国交省地方整備局、自治体、高速道路会社の3者が協議会を設けて、その存続を検討中だ。社会実験では、自治体はスマートICの建設コストは負担していない。こうした有利な条件でも継続を断念するケースが多ければ、全国数百カ所に広がるだろうといわれているスマートICの本格導入にも、暗雲が立ちこめることになる。

《中島みなみ》

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