境遇に同情し、制度を悪用して違反もみ消し

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警視庁は27日、虚偽の供述調書を作成した、神田署・地域課に所属する54歳の巡査部長を虚偽有印公文書作成容疑で書類送検した。交通違反で摘発した男が無免許であることを知りながら、その境遇に同情して、違反を免れるために虚偽の供述調書を作成した。

警視庁・警務部によると、この巡査部長は2005年10月23日、東京都千代田区内で、乗用車を運転中に一時停止標識を無視して進行した30歳の男を発見。その後の調べで男の免許証は有効期限切れで失効していたことも判明したため、警察では男を道路交通法違反(一時停止無視、無免許運転)容疑で摘発した。

しかし、この2日後に巡査部長は男を同署に呼び出して「運転免許証の期限切れを知らなかった」とする内容の供述調書を改めて作成、違反事実から無免許運転を消去した。巡査部長は「運転免許証の失効に気づいていない場合は期限誤認として扱い、無免許運転には問わない」という制度を逆手に取って男の違反事実を改変していた。この事実が後に発覚した。

巡査部長は「違反者の妻が車内で幼い子どもを抱き締めて小さくなっている姿を見て、自分の娘と孫の姿と重なった」、「境遇に同情してしまった」など供述。

警察ではこの巡査部長を交通課から地域課に異動させるとともに、虚偽有印公文書作成容疑などで書類送検。さらには減給100分の20を1カ月とする懲戒処分を実施した。

《石田真一》

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