加害者は事故直前に再加速か…不起訴不当議決

自動車 社会 社会

2000年11月に徳島県徳島市内で発生した交通死亡事故について、徳島検察審査会は7月28日、不起訴となっていた事故の加害者の処分について「不起訴不当」の議決を当日までに行った。様々な証拠を提出し、加害者側の過失を追及した遺族の執念が実ったかたちだ。

問題の事故は2000年11月25日の午後9時ごろに発生している。徳島市元町1丁目付近の国道192号線の交差点を自転車で横断していた16歳の男性(当時)が、28歳の男性が運手するクルマにはねられて死亡した。捜査を担当した警察は極めて早い段階で「自転車側の信号無視が原因」と判断。2001年12月に業務上過失致死で書類送検された加害者側は不起訴処分となった。

しかし、事故直後から「自転車側が青信号だった」との証言が寄せられ、不起訴処分に反発した遺族は現場の信号サイクルをコンピューター・グラフィックスで再現。これらを元にした鑑定書を徳島検察審査会に提出。不起訴不当の申し立てを行った。

これを受けて同会は審査を行ってきたが、事故を起こしたクルマが現場直前で車線変更を行って先行車を追い越したことを重視。信号サイクルからも「クルマ側が進行していた道路の信号表示が赤、もしくは黄色だった可能性が捨てきれない」と指摘した。

また、衝突時の速度については「53.8km/hないし63.4km/hだった」とされているが、加害者が衝突直前に急制動を掛けたのであれば、事故直前の速度はさらに高かった可能性があることや、事故直前の車線変更なども加味した場合には「加害者が信号が黄色から赤に変わる直前で急加速を行い、交差点通過時には信号が赤に変わっていた可能性があること」も指摘。

結果として「これまでの検証よりも科学的な捜査を行う必要がある」とまとめ、不起訴不当の議決を行ったという。

《石田真一》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集