全長4605mm×全幅1815mm×全高1430mmのディメンションは、たとえばBMW『3シリーズ』と比較すると全幅・全高値はほとんど同じで、全長が80mm長い。つまり、Eセグメントとしては小さいが、Dセグメントでは最大級という戦略的なボディサイズで、その存在感(立派に見えるという意味)でライバルたちを圧倒している。
「正直、『S60』ではBMWの3シリーズも強く意識していますが、セグメントという枠にはあまりこだわっていません。見栄えというよりは、ライバル車より長い全長を確保することで、そのぶんを室内空間の余裕に充てています」(ボルボ・カーズ・ジャパン マーケット企画部 岡田勝也さん)
いっぽう、メカニズム面で見逃せないのが、世界で唯一、直列5気筒エンジンを横置きしたFFレイアウト。それは、BMWがFRの駆動方式に、アウディがクワトロシステム(4WD)にこだわり続けているのと同様、長年に渡るボルボ独自のパッケージングであり、「ボルボのアイデンティティ、根幹」と前出の岡田さんはいう。
「5気筒のメリットは6気筒のスムースさと4気筒の軽快さを併せ持つことです。しかも直列で、それを横置きしている点も重要。つまりエンジン幅を抑えられる直列を、さらに横に搭載することで、エンジンルームの縦方向に広い空間を確保することが可能に。これをクラッシャブルゾーンとして活用することで、きわめて衝突安全性の高いボディが達成できているのです」
そう。自他ともに認める”世界屈指”の安全性能は、じつはワゴンよりもプライオリティの高いボルボの本質なのである。(つづく)