アメリカ最大のカーレース、NASCARの放送権をめぐり、サテライトラジオのシリウスとXMが入札合戦を行っていたが、シリウスが5年契約1億ドルあまりで落札。
現在NASCARの放送権を持っているのはXMだが、2007年からはシリウスにバトンタッチされることになった。
まだ黒字を計上していないサテライトラジオにとって、高額なスポーツチャンネルの導入は一種の賭けでもある。XMは昨年6億5000万ドルでMLB(野球)と契約、一方のシリウスは2億3000万ドルでNFL(フットボール)と契約している。また、シリウスはNBA(バスケットボール)との契約も更新中だ。
業界アナリストはこうした傾向について、「今後サテライトラジオは音楽やニュースを重視する人々、スポーツ愛好家の2つの顧客層に分かれて行くのではないか」とコメントしている。
つまり、今回の契約でスポーツチャンネルを増やしたシリウスには「クルマの中でスポーツ中継を楽しみたい」層が、「スポーツよりも音楽コンテンツ重視」の層はXMへ、という「棲分け」が進む可能性があるという。
ただ、皮肉なことにスポーツチャンネルが増えたことでサテライトラジオにコマーシャルを希望する広告主が増え、視聴料ベースで「コマーシャルフリー」が売りのサテライトラジオのあり方が見直されているという点だ。
確かに広告を入れれば赤字はかなり解消できるが、視聴者からはブーイングが起きそう。企業として選択が難しいところにさしかかっている。