警視庁は2日、業務用の高性能な印刷機器を駆使し、高速道路用の回数券などを大量に偽造していたとして、以前は印刷会社に勤務していた40歳の男など4人を有価証券偽造などの容疑で逮捕した。
この事件では、偽造券の換金を指示していた指定暴力団の組員や、実際に換金を行っていた男などがすでに逮捕されており、警察では一連の事件との関連を調べている。
警視庁・捜査2課によると、有価証券偽造容疑で逮捕されたのは、印刷会社の元社員だった40歳の男や、今も印刷会社を経営する62歳の男など4人。この他に偽造券の換金役など9人がすでに逮捕されており、一連の事件では合わせて13人が逮捕(一部はすでに起訴)されている。
グループは「原版屋」、「印刷屋」、「製本屋」、「換金屋」など、その役割に応じた仕事内容が決められており、互いの接点は最小限に抑えられていたとみられている。
これまでの調べで次のような作業の流れが判明している。まず主犯格の男がパソコンとスキャナで印刷原版(フィルム)を作成、これを使い印刷会社の男が業務用の高精度な印刷機で偽造券を印刷。それを製本業者が実物の回数券と同じ枚数に綴り、運び役に手渡す。運び役はこれを換金役に配り、換金役が得た現金を主犯格の男らが回収する、というようになっていた。
グループのアジトからは、中央自動車道や東京外環自動車道、首都高速や阪神高速用の回数券だけではなく、偽札用の原版も発見されている。
これまでに偽造されたのは、高速道路の回数券だけでも額面で40億円を超えるとみられるが、このうち25億円相当がすでに流出していた。
警察では逮捕したグループのメンバーを追及し、換金などで騙し取ったカネがどのようなルートで流れていたのか解明を急ぎたいとしている。