スマート初のFWDであり、また初めて2人以上乗車できる『フォーフォー』(6日発表・発売)。三菱『コルト』のプラットフォームを用いて開発され、同じグループのメルセデスベンツ『Aクラス』とはまったく異なるキャラクターを持つコンパクトカーだ。
フォーフォーが属するコンパクトクラスは、日本でもヨーロッパでもあらゆるメーカーが商品を投入する激戦区。昔からメインの量販車種は薄利多売で利益を確保するのが当たり前であった。
しかし近年は、これら量販車種に対し、付加価値を加えた派生車種を設定し、値引き合戦に巻き込まれずに利益を確保し、さらに独自のブランドイメージを確立するツールに仕立てる戦略が活発化してきた。日本メーカーで言えばトヨタ『イスト』、マツダ『ベリーサ』などがそれにあたる。
ダイムラークライスラー・グループの中でメルセデスベンツ、スマート、マイバッハという3ブランドを抱える「メルセデス・カー」グループとしては、コンパクトクラスを展開するにあたり高級ブランドのメルセデスベンツ『Aクラス』とは別の価値を持つ車種として、スマートブランドを活用するのは自然な流れだった。
また開発当時は提携関係にあった三菱の技術を用いるのも、軽自動車の実績を鑑みれば当然だったといえる。
しかし6日の発表会ではメルセデスベンツ『SLK』との合同発表会という形が採られ、スピーチでは「メルセデス・カー・グループ」という表現を多用していた。これは「スマートはメルセデスベンツのブランドである」という印象を与え、フォーフォーに三菱の技術が用いられていることを忘れさせようとしているかのようだった。