【神尾寿のアンプラグドWeek】“ケータイメディア時代”の幕開け? auの夏WINは速いぞ!

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「auががんばると他社が刺激されていいサービスが出てくる。結果的に携帯電話市場が活性化する」

7月12日に行われたau・04年夏モデルの記者発表会で、KDDI執行役員au商品企画部・牧敏夫本部長はそう会場に投げかけた。

実際、auはEZ「着うた」やパケット料金定額制「EZフラット」などを他社に先駆けて展開。NTTドコモがFOMA 900iシリーズやパケ・ホーダイで、auの後を追う形になっていた。

04年 夏モデルでは、ドコモは非接触IC「モバイルFeliCa」を搭載した506iCと900iCシリーズを投入。ひさしぶりにauに先んじて「携帯電話の生活インフラ化」という新分野を切り開いた。

対するauの04年夏モデルのキーワードは、昨年から始まった新3GサービスCDMA 1X WINの進化と、「携帯電話のメディアインフラ化」への昇華である。

今回、発表された新機種は、ソニー・エリクソン製のW21S、三洋電機製のW21SA、京セラ製のW21Kの3機種。どれも新3Gサービス「CDMA 1X WIN」に対応。すでに発売が始まっているCDMA 2000 1x対応の'04年夏モデルと併売される。

まず、今回の新WIN 3機種はハードウェアの進化が著しい。技術面では携帯電話のエンジンとも言うべきチップセット(統合型CPU)が、ARM7コアからARM9コアにまるまる2世代分進化した。

「ARM9コアを使ったMSM6500を使用するのは世界初。(先代のWIN端末発売から新機種発表まで)8カ月もお待たせしてしまったのもこのあたりに理由がある」(牧本部長)

ドコモのFOMA 900iシリーズとは使用するチップセット体系が異なるので単純比較できないが、新WINでは日常的な利用シーンからリッチコンテンツまで快適に利用できるレスポンス(反応速度)向上を強く意識したという。世界でもトップクラスのスピードを実現した携帯電話である事は間違いない。CDMA 1X WINの通信速度はFOMAの約6倍にあたる最大2.4Mbps。端末の諸機能からメールやコンテンツといった通信を使う部分まで、速さが際だっている。

アプリ機能はauが推進する「BREW」に対応。新WINのブロードバンド環境にあわせて最大600キロバイトまで大容量化されている。

また先代WINが弱かったカメラ機能は全機種100万画素オーバーの「メガピクセル対応」に改められ、2次元バーコード(QRコード)に対応した。

これほどまでにハードウェアの性能が底上げされたのは、auが携帯電話の方向性として、「メディア価値」の向上を掲げているからだ。

例えば今回の新WIN端末ではマクロメディア社のアニメーション技術「Flash Lite 1.1」対応し、端末のメニューからコンテンツポータルサイトまでグラフィカルで楽しいものに仕上げている。特にポータルサイトは様々なコンテンツを紹介する窓口としてメディア化。バナー広告スペースが設けられる一方で、通信料は無料になった。

auが以前から力をいれている着うたは、高音質化とステレオ対応が行われた。

「最近では新譜発売前のプロモーションとして着うたを使うレコード会社が増えてきました。着うたでの展開がCD販売と影響しあうようになってきた」(牧本部長)

音楽分野ではFMラジオと着うたサービスを連携させた「新・FMライフスタイル」にW21SAが対応。さらに今回の新機種から著作権保護機能付きのメモリーカードにダウンロード購入した着うたコンテンツを移動できるようになった。これは将来予定されているまるまる1曲をダウンロード販売する音楽配信サービス、通称「フルサイズ着うた」への布石と考えていいだろう。

映像分野では、先代からWINの特長だった動画配信サービス「EZチャンネル」の構成が刷新され、日替わりの無料番組1チャンネルと、番組30チャンネル体制になった。無料チャンネルは情報番組から連続ドラマまで多種多様で、ユーザーにEZチャンネルを試してもらう目的のもの。その先にコンテンツプロバイダーが用意する有料番組がある。無料番組には短いCMも挿入される予定で、将来に向けて携帯電話向け映像番組で広告モデルが成り立つか試すという。

auは今回の新機種発売にあわせて、定額制料金プラン「EZフラット」も改訂。パケット利用量が40,000万パケット未満(通常レートで税込み8400円分)と少ない月は最低料金2100円(税込み)がかかり、パケット利用量が多くなっても上限金額は月4410円(税込み)ですむという“ダブル定額”方式を採用する。

すでに情報ツールとしてはパソコンより普及した携帯電話が、テレビやラジオに匹敵する情報メディアにまでなるか。auのチャレンジは始まったばかりである。

《神尾寿》

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