今回の道交法改正案に盛り込まれた、「駐禁取締りの民間委託」だが、もしこれが導入されたとして、この民間取締り員がどれぐらいの規模で取締りをおこなうのだろう。
いいかえれば、どれぐらい取締りが増えるのだろうか。われわれドライバーにとって、いちばん気になるところかも知れない。
そしてそんな興味を満たすかのような国会答弁を、警察庁交通局長が残していたのである。「今と同じ取締りでは駐車秩序が、良好な駐車秩序が確立されませんので、2倍程度の駐車違反取締りを行いたい」と、取締り倍増宣言をしていたのだ。
■人見信男警察庁交通局長
「仮に現在の二倍程度の取締りを行うと---今と同じ取締りでは駐車秩序が、良好な駐車秩序が確立されませんので、二倍程度の駐車違反取締りを行いたいと。標章を取り付けたうちの三割ぐらいが運転者として反則金を納付し、これはあくまで仮ですが、残りの七割が放置違反金の納付により処理されるなど、幾つか仮定を置いた場合、そう置いた場合には最大限民間委託を行った場合には標章取付け件数は二倍と、今の二倍となったものとして、約五百名程度の人員合理化がなされるものと、可能なものと、こう見込んでおるところでございます」
なお参議院の採決で民主党が法案反対にまわっているのだが、その理由こそ、ほかでもない「民間委託」問題だったのである。
■松井孝治議員(民主党)
「本改正案では、違法駐車対策について、使用者責任の追及と併せ、対応業務の民間委託を可能とすることとされております。しかしながら、現在、警察当局において行われている駐車違反の取締りにすら批判がある中で、刑事罰の対象となる駐車違反への対応業務を民間に委託することは、公平性、公正性の観点からも、また、委託団体がいわゆる天下りの温床となるのではないかとの批判もある中で適切なものであるとは考えられません」
「よって、性急な民間委託の実施は避けるべきであり、その是非については、使用者責任の追及などその他の違法駐車対策の効果を見極めつつ、時間を掛けて総合的に検討すべきであります」
つまり「民間委託」は時期尚早としているわけだが、衆参両院ともに与党が過半数を占めるなか、民主党の意向が法案に反映されることなく、淡々と可決されてしまった。
なお、「放置駐車違反金」=「行政制裁金制度」と、「駐禁取締りの民間委託」については、この5月中に法案が成立・公布されたとして2年後の06年5月中の施行となる。
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