新型アルコール検知器、無実の違反者を量産

自動車 社会 社会

警察庁は21日、昨年10月から全国の警察本部が一斉に導入したアルコール検知装置227台について、実際には呼気にアルコールが含有されていないにも関わらず、酒気帯び運転と認められる数値を表示するトラブルが起きていたことを明らかにした。

警察庁によると、実際には含有されていないアルコールを検知したと表示するトラブルが生じることが確認された検知器は、京都の精密機器メーカーであるヤナコ計測が製造した『AL-100S』と呼ばれる業務用のもの。

高速隊のパトカーに装備する検知器として採用され、全国47都道府県の警察本部で昨年10月から導入が始まった。

ところが導入直後に行われたメーカー社員によるデモンストレーションの際、実際には呼気にアルコール分が含まれていないにも関わらず、酒気帯び相当量のアルコールを検知したかのように表示するトラブルが発生した。トラブルは一度に留まらず、その後も続発した。

メーカーが行った検査では、センサー部分近くに結露が生じた場合、実際の測定値と乖離した数値を検出したかのように表示してしまうことがその後の調べで判明した。

結露は急激な温度変化によって発生しており、室内(パトカー)から車外に持ち出すなど、温度差が激しい場合に起きるという。トラブルを起こした機種はセンサーの感度を従来型の約2倍に高めたもので、それが従来機よりも顕著になってしまったらしい。

これを受け、警察庁では10月以降に導入を開始した警察本部には使用の一時中止を命じるとともに、今回の一斉導入以前から同機種を採用していた7県(36台)についても、同様のトラブルが生じていないかの調査を命じた。

ところが実際にはこの指示が現場に届くのが遅れ、10月下旬から11月下旬までの1カ月に山形、滋賀、和歌山、福岡、熊本の各県で使用され、うち8件については被疑者が飲酒を否定していたにも関わらず、0.16〜0.30ミリグラムを検出していたことがわかった。

このうち、10月25日に山形県と福岡県で摘発したケースについてはすでに罰金刑が確定している。残る6件については今回のトラブルが明るみになったため、処分を保留している状態だという。

また、和歌山県警では、なんと178件の誤作動を確認していることがわかり、この中には被疑者の呼気が酒臭くないにも関わらず、1.00ミリグラム近い泥酔量を表示してしまっていたこともあったという。和歌山県警では新旧2タイプのAL-100Sを有しているが、両方の機械がバラバラの数値を出すことも確認されている。

警察庁では専門の解明チームを作り、原因究明を行う方針だ。

《石田真一》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集