『キューブ・キュービック』は日産ラインナップのうちで「スモールカーとして最大の7人乗り」であり、「7人乗りミニバンとしては最小スケール」という二つの顔を持つということは発表会の席上でも強調されていた。
「7人乗ることもできるが、普段は少人数乗車をメインとする人にアピールしていく」ということから、これまでの2列タイプ『キューブ』とどのようにして差別化を図っていくのかということも気になるが、開発担当者の小林正樹チーフプロダクトスペシャリストは「両モデルのお客様は同じでしょうから差別化ということは全く考えていません」と説明する。
「実はキューブ・キュービックの開発途中から、同車を“7人乗りのキューブ”として買うのではなく、“荷物の収納スペースが増えたキューブ”として選択する人も多いのではないかという販売セクションからの予測がありました。こうした考えもあるとしたなら、両車のユーザーは一体化しているといえます」と小林チーフ。
キューブは7000台、キューブ・キュービックはその半分の3500台を月販目標に掲げるが、小林チーフによると販売の現場では「キューブシリーズで1万0500台」と考えているらしい。7000と3500ではなく、6000と4500、あるいは5250と5250。結果的に合計1万500台が売れれば良いというものだ。
小林チーフは「想定するユーザー層も両車は重なっており、買う側にとっては“選択肢が広がった”という印象の方が強いかもしれません」とも説明するが、すでにキューブの商談を一時中断し、「キューブ・キュービックが出るまで待つ」と主張している人もいるらしく、そういった意味では販売セクションはかなり的確な予測をしていたともいえる。