死者への責任転嫁は「身勝手」と検察

自動車 社会 社会

自分が運転している際に事故を起こしたにも関わらず、死亡した同乗者が運転していたと偽っていたものの、後に嘘をついていることが発覚して業務上過失致死罪に問われた35歳の男に対する論告求刑公判が25日、盛岡地裁で開かれた。

検察側は虚偽の供述が極めて悪質だったとして禁固3年6カ月を求刑している。

この事故は2001年10月28日の午後10時35分ごろ、岩手県北上市鬼柳町付近の東北自動車道下り線・北上ジャンクション付近で発生している。追い越し車線を走っていたワゴン車が中央分離帯に激突して横転、大破した。

車外に投げ出されるなどして3人が死亡したが、唯一の生存者だった当時33歳の男は「自分は後部座席に乗っていた。死んだ男が運転していた」と供述。治療のために実家のある広島に戻った。

だが、その後の調べで男のケガの程度では、後部座席付近の破損状況と比較した場合に整合性がないと判断。警察が度重なる実験を続けた結果、男が負ったケガの程度で済ますには運転席に座り、3点式のシートベルトを着用していなくてはならないことが今年4月までにわかった。

警察では男が運転していたと断定し、今年6月に広島県内で逮捕している。男は逮捕後の取り調べに対して「自分だけが生存しているとわかって怖くなった。死んだ者が運転していたことにすれば良いと思って気軽に嘘をついたが、後で事実を言い辛くなった」と、虚偽の供述を行ったことを全面的に認めている。

25日に行われた判決公判で検察側は「自己の責任を回避したいという身勝手さから行われた虚偽の供述に3年間も振り回された。保身のためとはいえ、事故発生の責任を他者に転嫁しており、その行為は極めて悪質」と指摘。裁判所に対して禁固3年6カ月を求刑した。

《石田真一》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース