乗客の目が届かない運転席---JRバス飲酒運転

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乗客の目が届かない運転席---JRバス飲酒運転
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18日に起きたジェイアールバス関東・宇都宮支店所属の32歳運転手が飲酒運転の現行犯で逮捕された事件については、警察が「運転手が走行中に飲酒を行っていた」ということ示唆しているが、当日の運用に就いていたバスの構造自体が運転手の飲酒を助長した可能性がある。「このバス(車種)だったからこそ、営業運転中の飲酒が発覚しなかった」ともいえるのだ。

逮捕された運転手が乗務していた「東海道昼特急」は、夜行便として使用している車両を有効活用する形で2001年12月から運行を開始している。利用者の多い東京〜大阪線には輸送人員の多い二階建て車両が使われており、問題の便では三菱ふそうの『エアロキング』が使用されていた。

通常のバスであれば車体前方のドアを使うが、エアロキングなどでは二階客室へアクセスするための階段が車体後部に設置されており、乗客が出入りする際には車体後部のドアを使うことになっている。車体前方のドアは運転手が出入りするのみに使用しており、乗客の乗降時は締め切り扱い。通常のバスのように運転手の顔を見ながら乗り込むこともない。

また、予約の際も二階席から順に埋めていくシステムとなっており、一階部分に乗客が入ることは二階部分が満席の場合、あるいは一階部分の座席を乗客が強く求めた以外にはない。そして一階部分に乗客がいる際には車内の照明がフロントガラスに反射することを防ぐため、運転席と客室の間をカーテンで仕切ってしまうことが多く、一階に乗車していたとしても運転席の様子を伺うことはできない。

二階部分からは一階で運転する運転手の姿を確認する術は皆無で、乗客が運転席に向かうためには二階から一階に降り、さらに一階部分の客席を通って向かうことになる。天井が低いために身動きが取りづらく、走行中は振動もあるため、車内の移動は困難を伴う。

通常のバスであれば運転席を覗き込むことは容易だが、二階建てバスではそれが出来ず、さらには乗客が到達しにくいという一種の密室となる。こうした場所にいた運転手が飲酒を抑制できなくなった可能性は非常に高い。

《石田真一》

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