違反か休憩なしか---ドライバーに命じた運行管理者

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兵庫県警は5日、過労運転を前提としたスケジュールを運転手に強制させるような指示を出していたとして家宅捜索を実施していた11社のうち、押収資料から3社の運行管理者の指示が確実になったとして道路交通法違反(過労運転下命・容認)容疑で逮捕したことを明らかにした。

逮捕された会社に勤務する運転手自身の過労兆候は確認されていないが、勤務状況から過労運転を引き起こすと判断されたという。

兵庫県警・交通捜査課の調べによると、今回逮捕されたのは7月10日に強制捜査が行われた神戸市内の運送会社など3社の運行管理者。逮捕された3人はそれぞれの会社に勤務する運転手に対し、速度超過を前提とした過酷な移動スケジュールを強制した疑いが持たれている。

会社の指示通りに輸送するためには、高速道路を常に速度超過状態で走ることとなり、それが出来ない場合には運転手自らに与えられた休憩時間を削るしかない。また、道路の混雑なども加味されておらず、結果としてどこかで速度超過を行わなくてはならないことになっていた。

高速道路などでオービス(速度違反自動取締機)に速度超過を摘発された運転手を取り調べた結果、こうした指示を事実上の命令として会社から受けていたことが明らかになり、それを確認する意味で家宅捜索を行った。

運行記録簿からは3社がさらに過酷な命令を受けていたことが判明。摘発された速度超過が氷山の一角でしかないこともわかった。また、配送が遅れた場合には運転手の給与から罰金という名目で天引きされているという情報もあり、警察ではこれについても事実解明を行っていくとしている。

運行管理者が逮捕されたのは今回3社に留まったが、残る8社についても押収資料の分析が終わり次第で何らかの措置が実施される可能性が高い。また、運転手に直接命令したのは運送会社だが、運送を依頼した会社がこうした過酷なスケジュールを命じていると判明した場合には、その会社も摘発対象に含めていくとしている。

県警ではこうした会社の洗い出しも並行して進めていると言われており、遅くとも今月下旬には捜査に着手するようだ。

《石田真一》

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