警視庁は26日、追突事故を発端とする口論から相手を刺し殺したとして、32歳の暴力団員を殺人容疑で逮捕したことを明らかにした。事故自体は軽微なものだったが、容疑者の男が被害者にクルマの買い替えなどを求めたため、口論に発展したとみられる。
警視庁・麻布署の調べによると、26日の午前3時30分ごろ、東京都港区六本木3丁目付近で路上駐車していたクルマに、後から走ってきた31歳男性運転のクルマが追突した。追突された側のクルマを所有していたのは、32歳の暴力団員が所有する外国製高級車で、男性は事故の発生を警察に知らせようとしたが、衝撃音に気づいた暴力団員に「店の中で話そう」と強引に連れ込まれた。
男性はそのままこの暴力団員が経営に絡んでいるとみられる飲食店の店内に連れ込まれ、2時間に渡って事実上監禁。暴力団員は男性に対してクルマの買い替え(全額賠償)を求めたが男性がこれを拒否したため、逆上した暴力団員が店の厨房から刃渡り20cmの柳刃包丁を持ち出して男性の腹を刺した。男性は病院に搬送されたが、1時間後に出血性ショックなどが原因で死亡している。
暴力団員は事件後に自分のクルマで逃走したが、追突事故で後部が壊れていることを忘れており、「後部が損傷しているクルマで逃げている」との連絡を受けた警察官にあっさりと発見されて殺人未遂容疑(後に男性死亡を受け、殺人に切り替え)で逮捕されているが、男は容疑を全面的に否認しているという。