当日の警備に問題なし、ただし---天皇陛下車列妨害

自動車 社会 社会

警察庁と北海道警は24日、富良野市内の国道38号線で今月4日に発生した天皇・皇后両陛下の車列妨害事件について、最終的には両陛下御乗用の車両には接触を許して折らず、事前に阻止していることから、当日の警備に関わった警察官への処分を見送ることを明らかにした。ただし、今後の警備体制については見直す必要があると提言している。

この事件は今月4日の早朝に発生している。午前7時10分ごろ、富良野市学田三区の国道38号線で、地方視察に訪問されていた天皇皇后両陛下御乗用の専用車に対し、後方から対向車線側を猛スピードで走ってきた軽自動車が衝突を企てようと急接近してきた。これに気がついた皇宮警察白バイ隊の隊員3人が両車の間に割り込むなどして進路を塞いだが、うち1台が容疑車両と接触。その弾みで転倒し、御乗用車の右フェンダーに接触した。

男はその場で公務執行妨害の現行犯で逮捕。天皇皇后両陛下は無事で、転倒した白バイ隊員にもケガは無かった。車列は現場で3分間停車し、陛下はその間に控え車両に乗り換えられ、そのまま視察を継続した。

その後の調べで、この男は事件発生の1時間ほど前から、天皇皇后両陛下の車列が通過する予定のコース付近に出没。複数の道警・警察官が目撃していたことがわかった。事件発生前には4回の退去勧告を行っているが、最終的に退去を確認した警察官はいなかった。男は国道38号線を走っているときに陛下の車列とすれ違い、その場でUターン。猛スピードで追走し、後方から車列へのアタックを試みたという。

当時、現場付近で警備に当たっていたのは北海道警の警察官約40人で、警察庁と道警ではこの警察官から警備状況などについて聴取していた。

この結果、問題の男に対しては事件発生に4回の職務質問を行っていることが改めて確認されたが、それが不審者情報として警備本部に提供されていないことがわかった。しかし、この人物が重大な妨害事件を引き起こすことについの予見性はなく、不審者情報を提供する義務は現場警察官に生じていたものの、それ以上の責任は発生していないと結論づけた。

また、車列妨害事件そのものについては皇宮警察の白バイ隊が接近を阻止することに成功しており、両陛下が御乗用する専用車への接触を寸前阻止できたことについても問題が無かったと結論づけ、当日の警備担当者に対する処分は一切行われないことになった。

ただし、今回の車列は後方から接近してくる不審車両には無防備であったことは認め、今後の課題に後方から接近する車両へ対する警戒態勢の強化や、どんな些細なことでも不審者情報は全警備担当が共有する体制をつくるなど、数点の改善項目が示されている。

警察庁の佐藤英彦長官は同日行われた定例会見で「今後に向けた改善点はあるが、北海道警としては取るべき措置は取るよう、精一杯努力してきたと考える。当日の警備に着いては責任を追及すべき怠慢は認められなかった」とコメントしている。

《石田真一》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集