新型アウディ『A3』はシンプル&クリーンなデザインながら、強い個性と独特の「彫刻的なカタマリ感」を持つ。欧州車の多くに共通して表現されるこの「カタマリ感」。そのヒミツ、クルマを上から見ると答えが出てくるようだ。
「アウディデザインはプランビュー(クルマを上から見た図)に力を入れています。これはデザインを大きく変えるのです」と語るのはアウディの和田智シニアデザイナー。ボディサイズは全高が10mm低められた一方でホイールベースと全幅がそれぞれ65mm、30mm拡大されている。
「安全性やボディ剛性を考えるとサイズアップは時代の要請です。しかし我々はできるだけコンパクトにするためにプランビューを角の取れた丸いデザインにしたのです。それが凝縮感につながっているのでしょう」
他にも切り詰められたオーバーハングやフロント、リア共にボディサイドまで回りこんだランプによって一層のカタマリ感を持つA3。以前日本でデザインしていた経験を持つ和田デザイナーは「日本では小さく見えることがポジティブにならない。そういった社会要件が日本車の形をスポイルしているのかもしれません」と語る。
「アウディは『生きている』ものをデザインし続けます。このA3、自信を持ってお届けします」と和田デザイナー。クルマは運転して、走ってこそクルマである。そのための「生きている」デザイン。他の工業製品とは違う、カーデザインの奥深さが見えてくる。