警察庁は26日、韓国(大韓民国)で免許を取得したドライバーが日本の免許証を取得する際、運転経歴を確認して適性試験を受けるだけで切り替えられる制度を来月1日から導入することを明らかにした。ヨーロッパなど日本と同水準の免許制度がある21カ国に対してはこれまでに同様の措置を取ってきたが、韓国は22番目にこれが認められることになった。
警察庁では在留外国人が日本の免許証への切り替えを求める場合、交通ルールが似通っているイギリスやオーストラリア、日本と同様の免許制度があるフランスやドイツなど21カ国については各都道府県の公安委員会が切り替え希望者の運転経歴などを書面で確認し、簡単な適正試験を受けるのみで交付するという制度を取ってきた。
免許制度が比較的アバウトなアメリカやブラジルの免許を取得した者には、試験場での実技試験を行なっている。しかし、韓国については死亡事故率が異様に高いことや、自動車右側通行の国であり、交通ルールが大きく異なることから、簡素な書き換えも実技試験による取得も認めてこなかった。
韓国政府はこの措置に反発。国会議員などが来日する度に免許書き換えの簡易化を迫っていた。昨年12月には「簡易化を認めない場合、日本人が韓国の免許を求めた場合には筆記や実技試験を実施する」という通告も実施。様々なロビイスト活動を行ってきた。
警察も昨年のFIFA・サッカーワールドカップ開催時に一時的な導入を検討していたが、韓国から日本に訪れる人は少ないと判断し、制度導入を見送っていたという経緯もある。
警察庁は今回の制度変更の理由として「懸案だった交通事故の死亡者数はここ数年下落傾向にあること」、「切り替えを求める韓国人ドライバーの技量は他国の希望者よりも高い水準にあること」を挙げている。昨年は3076人の韓国人ドライバーが免許の切り替えを行っているが、今回の制度導入でさらに増える可能性もある。