降りて確認、被害者を30mひきずる---ひき逃げが殺人に

自動車 社会 社会

警視庁は12日、今年5月に東京都目黒区内でひき逃げ事故を起こして逮捕された58歳の男の容疑を殺人に切り替えて送検していたことを明らかにした。被害者をクルマの下敷きにしていることを確認しながら、その後も30mほどクルマを走らせていたという。

警視庁・交通捜査課、同・目黒署の調べによると、問題の事故は5月26日の午前9時ごろ起きている。目黒区駒場1丁目付近の区道を歩いていた79歳の男性が後方から走ってきたクルマにはねられたというもので、男性は病院に収容されたが外傷性ショックなどが原因で死亡した。

警察では58歳の男を業務上過失傷害と道路交通法違反(酒気帯び運転、ひき逃げ)容疑で逮捕したが、男は取り調べの際に「飲酒運転の発覚を恐れて逃げた。男性をひいたことには気づいたが、怖くなって逃げた」と供述していた。

しかし、現場付近の路上には30mに渡って被害者の血痕が残されており、このことから警察では被害者の男性がクルマの下敷きになったまま相当な距離をひきずられた可能性があると判断。男を追及していた。

その結果、容疑者の男は男性の救助をせず、クルマの底部に引きずったまま数十mを走っていたことを認めた。しかもそれは「引きずっていることを知らなかった」のではなく、「底部に被害者が引っかかっていることを一度クルマから降りて確認している」こともわかった。

容疑者はクルマの底部に引っかかった男性を外すため、引きずるようにして走ったことを認めており、警察ではこれが未必の殺意に当たると判断。業務上過失致死ではなく、殺人容疑での送検を決めた。

ひき逃げ事件が殺人事件に切り替わるというのは珍しいが、今回の事故形態は悪質だったことが決め手になったようだ。

《石田真一》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集