教習所の検定員を「殺す」と脅す……合格させた暴力団員

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奈良県警は28日、県公安委員会指定の自動車教習所に勤務する技能検定員を脅し、教習所に通っていないにも関わらず仮免許試験合格証明書を発行させたとして、52歳の暴力団組長を職務強要容疑で逮捕したことを明らかにした。また、この技能検定員についても虚偽有印公文書作成と同行使の疑いで逮捕している。

奈良県警・暴力団対策課の調べによると、この暴力団組長は今年1月中旬、県公安委員会指定の自動車教習所に勤務し、検定試験の責任者を担当する40歳の技能検定員を呼び出し、自分を含めた数人分の仮免許試験合格証明書を発行するように依頼。

断る検定員に対して「発行できないなら命を落とさなあならん」と殺害することをほのめかし、今年4月に2回に分けて合計4人分の証明書を発行させた疑いが持たれている。

このうちの1人は4月中に正規の免許証を取得していることが後の調べでわかっており、警察では仮免許試験合格証明だけではなく、卒業検定合格証明書まで発行させていた可能性が高いとしている。

警察の調べに対して検定員は「本当に殺されるかと思った。脅されて、言われるがままに発行した」と供述しているが、暴力団組長は「そんなやつとは会ったこともない」と容疑を全面的に否認している。

警察では暴力団組長を厳しく追及し、この検定員とどういった経緯で知り合ったのかを調べるとともに、検定員に対しても何枚程度の証明書を発行したのかなどを聞く方針。

公安委員会指定教習所の検定員は道路交通法で“みなし公務員”の扱いを受けているため、暴力団組長が脅迫していたと判明した場合には、公務員に対して脅迫・強要したのと同様の罪が科せられることになる。

《石田真一》

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