自動車保険金詐欺事件を巡って、口封じ殺人をした男に死刑判決

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自動車事故を装って得た保険金の分配を巡ってトラブルになり、警察に全てを話すといった仲間2人を殺害したとして殺人や死体遺棄罪など13件の罪に問われている34歳の男に対する判決公判が26日、宮崎地裁で行われた。裁判長は「極めて自己中心的な犯行であり、更生は困難」として死刑を言い渡している。

問題の事件は1999年に発生している。被告の男は自動車を故意に衝突させる偽装事故を起こし、保険会社から保険金を騙し取るという犯罪を思いついて実行したが、共犯の男と金の分配を巡ってトラブルとなった。

共犯の男が「警察に全てを打ち明ける」と言ったことで殺害を決意。同年の3月25日、男に睡眠導入剤の入った酒を飲ませ、昏睡状態に陥ったところで絞殺。クルマのトランクに遺体を隠した上で事情を知らない知人に「このクルマを埋めておいてくれ」と頼み、実行させた疑いが持たれている。

また、詐欺事件を知る別の知人についても「殺しておいた方がいい」と判断。殺人罪ですでに懲役12年の実刑が確定している男と共謀して同年9月20日の深夜、この知人をトラックでひいて殺害。遺体を西都市内の廃棄物処分場内に遺棄した疑いが持たれている。

被告の男は9月に起きた事件への関与については認めたが、3月の事件については「当時、筋ジストロフィーの症状を発しており、人の首を絞めるほどの力はなかった」として無罪を主張してきた。

26日の判決公判で宮崎地裁の小松平内裁判長は「起訴された13件全てで被告が中心的な役割を果たしてきたことは間違いない」と断定した。その上で3月の殺人については「犯行可能なのは被告しかいない」と結論づけ、計画性は無いと弁護側が主張してきた9月の殺人についても「当初はひき逃げ事件を偽装しようとしており、計画性は認められる」としてこの主張を退けた。

その上で「2件の殺人は詐欺の発覚を防ぐだけでなく、自らの利益を確保するための口封じが目的であり、執拗かつ残忍。犯行も極めて自己中心的で、心からの反省など微塵も見当たらず、被告の反社会的な人格は、もはや改善更生が不可能な域に達している」と断罪し、検察側からの求刑通り死刑を言い渡している。

《石田真一》

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