大型トラックを走る凶器に使った男、公判でも「向こうが悪い」と

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後方から猛スピードで迫ってくる乗用車が「自分にケンカを売っている」と勘違いし、急ブレーキを掛けて追突事故を誘発して後続車のドライバーを死亡させた32歳の男に対する論告求刑公判が14日、静岡地裁で開かれた。検察側は「極めて悪質」として懲役8年を求刑している。

この事件は昨年8月21日の早朝、静岡県島田市内の県道で発生した。大型トラックの運転手から「前のクルマが急ブレーキを踏んだため、こちらも急ブレーキを掛けたら後続車が突っ込んだ」という内容の110番通報が寄せられた。通報を受けた警察官が現場に急行したところ、トラックの後部に潜り込むような形で潰れている乗用車を発見した。

しかし、運転手の通報内容にあった前車のブレーキ痕は無く、トラックのブレーキ痕のみ14mも残る状況に不審を抱いた警察官がこの運転手を追及したところ、「後続車のドライバーに煽られて腹が立ち、脅かすつもりで急ブレーキを掛けた」と供述したため、殺人未遂容疑で逮捕(後に被害者死亡で殺人容疑に切り替え)した。

後の調べで、この運転手は低速で走る自分のトラックを追い越そうとしていた男性のクルマが「ケンカを売っている」と勘違いし、80km/hまで急加速した直後、急ブレーキを使って同様にスピードを上げたクルマに急ブレーキを使わせることで威嚇を試みたという。しかし、後続車のブレーキタイミングが遅れたことで追突事故が発生。結果的に男性が死亡したとわかった。

トラック運転手は「偶発的な事故であり、殺意は無かった」と主張したが、警察では「相手が驚いたり、傷ついたりするかもしれないということを承知で急ブレーキを使ったことが“未必の故意”にあたる」と判断、殺人容疑は成立するとしていた。検察側もこれを支持し、殺人罪で起訴されている。

14日の論告求刑公判で検察側は「動機は短絡的かつ身勝手なもの」と指摘。「故意に急ブレーキを掛け、大型車を走る凶器として使用したこと自体が言語道断で、非常に悪質である」と断罪。裁判所に対して懲役8年の実刑判決を求めた。

これに対して弁護側は「急ブレーキの使用は執拗に追いかけてくる後続車に抗議しようとした意味合いが強い。そもそも後続車が必要な車間距離を確保していれば事故は防げたはずだし、意図したものと違う結果になったと以上、未必の故意も成立しない」として無罪を求めた。

判決公判は来月30日に行われる予定だ。
《石田真一》

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