5日午前、大阪市西成区で客を装ってタクシーに乗り込んだ男が運転手に刃物を付けつけて現金を要求するという事件が起きた。運転手が「カネは無い」と言うと、男は「だったら一番近い警察署へ行け」と要求したという。運転手は男の要求どおり最寄りの南署まで走り、男はそこで強盗未遂の現行犯で逮捕されている。
大阪府警・南署の調べによると、事件が起きたのは5日の午前8時50分ごろだという。大阪市西成区花園北の市道からタクシーに乗り込んだ男が運転手に包丁を突きつけ、「強盗や、カネ出さんか」と脅迫した。運転手が「朝も早いしカネなんてあるか。見なかったことにしてやるから早く降りろ」と答えたところ、男は「だったら近くの警察署まで走れ。そこで俺を警官に突き出せ」と奇妙な要求をした。
運転手は疑問を感じながらも現場最寄りの南署までタクシーを走らせ、警察官に対して事情を説明。男は警察官の求めに応じてタクシーから降り、強盗未遂の現行犯であっさりと逮捕されている。
逮捕直後に行われた事情聴取でこの男は「強盗だと刑務所に行けるか?」と開口一番に質問。その後の調べでこの男が昨年10月に刑務所から出所し、その後はホームレスのような状態で路上生活を行っていたことがわかった。男は取り調べ最中にも「寒くてたまらない。食べるものも無いし刑務所に早く帰りたい」と繰り返した。
警察では男が刑務所に行きたい一心で強盗事件を起こしたものとみているが、詳しい動機についてはさらに調べを進めていく方針。